中国の商売を勧められ あの事件直前に到着 町内会の名簿作成は順調、会社を立ち上げる 話の肖像画 夢グループ創業者・石田重廣<16>
《住宅地図の広告の仕事で東京・品川区内のある町内会長に筋を通すことを教わった。その町内会長の紹介で、都内の町内会の名簿作成などの仕事に邁進(まいしん)することになる》 都内の町内会長に電話をし、「名簿の作成を任せていただけませんか」とお願いする日々となりました。当時は都内には数多くの町内会があって、だいたい4年に1回の周期で名簿を改訂していたんです。同じ仕事をする業者もいっぱいあって、シェア1位の会社などと張り合わなければいけない。で、町内会の会長や幹部に会って、「ぜひやらせてください」って直談判をするわけです。 そこで僕は何をしたか。町内会長や副会長、PTAや婦人会の会長といった幹部の方々はご年配の方が多いですからね。それまでの名簿の小冊子は活字が小さく、みんな老眼鏡をかけて読んでいるわけです。そこに僕は目をつけたんです。 僕は小冊子をひと回り大きくし、活字も1・5倍にしました。その名簿を持って、町内会の会長や幹部と打ち合わせをするんです。シェア1位の会社の名簿より読みやすい。老眼鏡も要らないぞ、と。するとみんな、「石田くん、これは読みやすいねえ」となって、乗り換えてくれるわけです。こうした工夫もあって、町内会の名簿作成の仕事が増えていきました。 《人を雇うことにした》 最初にお願いしたのは2人の大学生アルバイトでした。この2人がなかなか広告を取れない。でも僕は彼らをクビにしなかったんです。というのも、彼らは完全歩合制で1軒取って20%の報酬で、固定給はなかったからです。頑張って稼いでもらおうと思って…。 前にもお話ししましたが、僕が訪問販売会社の社員だったときに完全歩合制を選びました。売れば売るだけ、稼げるからです。僕は成績もそこそこでしたが、夕方の会議とか目標の数字とかになじめず、上司とけんかになって3カ月で辞めたんです。その経験もあって、人を雇うのであれば最初は完全歩合制で、と思っていました。 その後も町内会の名簿作成の仕事が増えたので、出版社を立ち上げました。社員やアルバイトは多いときで30人くらいいましたか。僕は後に始めた通販の仕事が忙しくなって、この会社は10年後くらいに友達に譲りました。
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