働く人に増えているメンタル不調のほとんどが「適応障害」。発症しやすい傾向にある人の特徴とは?産業医が解説
◆働く人のメンタル不調は、ほぼ「適応」の障害 働く人に増えているメンタル不調ですが、産業医、主治医としてそうした人たちに数多く接してきた経験から、そのほとんどは「適応障害」だと私は考えています。 適応障害とは、生活のなかで何らかの外的なストレスがあって、3か月から6か月経っても慣れることができず、日常生活に支障をきたすほどの心身の症状が出る病気です。 診察室では、「明確なストレスの原因があって、どうしても慣れることができず、そのストレスのもととなっていることについてずっと考えてしまうような状態です」と説明しています。 分かりやすい一例が、五月病です。 4月に入社して、ゴールデンウィーク頃までは前向きに頑張るものの、新卒や転職の方だと連休が明けた頃から任される仕事が増えたり、メンターから離れて仕事を行うようになったりして仕事の負荷が増えてきますよね。 そうすると、ストレスがたまって、徐々に体調を崩していく……というのが五月病。新しい環境での負荷に慣れることができずに心身の不調が出てくるわけですから、医学的にいえば、まさに適応障害なのです。
◆適応障害の特徴 適応障害の特徴の一つは、ストレスの原因が明確であること。人によって原因はさまざまですが、明確な原因があって、それに対する過剰な反応が起こっている状態が適応障害なので、ストレスのもとから離れると逆に体調は良くなります。これも、適応障害の特徴です。 ビジネスパーソンの場合、適応障害の原因で多いのは、職場の人間関係、過重労働、仕事のミスマッチです。なかでも特に多いのが、人間関係です。対上司、対同僚のほか、最近ではカスハラ(カスタマーハラスメント)というワードがすっかり定着してしまったほど、顧客からのクレームや言動に悩んでメンタル不調に陥る人も増えています。 一方、転職市場は売り手市場になっているなか、以前に比べると自分の希望する仕事を選びやすくなってきているため、仕事のミスマッチが原因で適応障害になるケースは減っている印象があります。 それでも、入社直後や異動直後、転職したばかりの人が、自分がそれまでやってきたこととは違う仕事を任されたり、新しい企業文化になじめなかったりして心身が疲弊することはよくあるパターンの一つです。
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