ロッテ・石川歩、669日ぶり勝った!2年ぶり1軍で5回0封 「駄目だったらやめるんだろうな」不安乗り越えた
再び背番号12で戻ってきた!! 今季は育成選手としてスタートし、支配下選手に復帰したロッテ・石川歩投手(36)が30日、オリックス10回戦(ZOZOマリン)に5回3安打無失点で、2022年8月31日のソフトバンク戦以来669日ぶりの白星をつかんだ。昨季は1軍登板なしに終わり、昨年10月に右肩を手術。引退も頭によぎったという右腕が復帰登板で好投し、7―0での勝利に導いた。 お立ち台で「絶景でーす!!」と4度、叫んだ。同僚たちから五右衛門の愛称で呼ばれた石川歩が、歌舞伎の演目「楼門五三桐」での石川五右衛門の名せりふにちなんだ決めぜりふを連呼した。2022年8月31日のソフトバンク戦以来669日ぶりの白星に屈託ない笑顔だった。 「リハビリ期間が長かったですが、何とかいい投球をしたかった。耐えることができてよかった」 巧みな投球術だった。直球の自己最速は154キロだが、この日は平均球速139キロ。上空は13メートル以上の強風も吹き荒れるマウンドで、一回は2死三塁としながら西川を内角低めの直球で見逃し三振に抑えた。その後も毎回走者は許したが、カーブ、カットボール、シンカーをうまく高低に投げ分けた。 引退も頭によぎった。昨季は開幕投手に選ばれながら右上肢のコンディション不良で離脱。一度は2軍で実戦復帰を果たすものの、痛みは消えなかった。「これで投げていても…という状態だった。これ以上は悪くならないだろう」。体は限界に達しており、昨年10月に右肩手術を決断した。 今季は背番号122の育成契約からのスタート。「駄目だったらやめるんだろうな」と不安もあった。それでも「僕の中では毎年、毎日(体の)感覚は変わる」。もう一度「絶景を」と一日一日投げるごとに変化する体と向き合った。4月に実戦復帰を果たすと、2軍で8試合登板し、防御率1・08。6月24日に支配下選手に返り咲いた。 吉井監督は「もともとロッテのエース。技術は天下一品。直球はもっと強いのでこれから上がってくると思う」とさらなる期待をした。石川歩も「勝ったのは良かったですが、自分の内容としてはまだまだ」。最高の絶景への旅はまだ道半ば。再び背番号12として歩みを進めた。(森祥太郎)