野手ならクリーンアップの逸材? 復活待たれる「阪神のドラ1右腕」は
すべてが高水準の打撃
指名打者制度がないセ・リーグは「9番目の野手」である投手の打撃が、勝負の分岐点になるケースが少なくない。森下暢仁(広島)、山崎伊織(巨人)、柳裕也(中日)は打撃センスが良いことで知られるが、セ・リーグ球団のスコアラーは「野手でプレーしたらクリーンアップを打てる逸材」として西純矢(阪神)の名を挙げる。 【選手データ】西純矢 プロフィール・通算成績・試合速報 「タイミングの取り方、スイング軌道、コンタクト能力とすべてが高水準。打者一本だったらどんな成績を残すか。『打力のいい投手』の枠に収まるスケールではない。右の強打者になれる可能性を秘めています」 創志学園高で2年春からエースになり、夏に甲子園出場。打者としても高校通算25本塁打と非凡な才能を発揮していた。3年にU-18代表に選出された際は二刀流で大活躍。W杯でチーム最多の4試合登板して防御率1.35をマークすると、打者でも同大会の本塁打王に輝いた。 ドラフト1位で阪神に入団後は投手に専念。打撃練習を行うが時間は限られている。にもかかわらず、衝撃的な一打を放った。プロ3年目の2022年。5月18日のヤクルト戦(神宮)に「八番・投手」でスタメン起用されると、2回に左腕・高橋奎二の150キロ直球をすくい上げて左翼席へプロ初アーチ。快速球を完璧に捉えたスイングに球場がどよめいた。投げても1失点のプロ初完投勝利。大谷翔平(ドジャース)を彷彿とさせる活躍ぶりだった。 この一発がフロックでないことをその後の打撃で証明する。同年10月10日にDeNAと対戦したCSファーストステージ3戦目。6回途中から救援登板すると7回に打席に入り、左腕・エスコバーの内角に食い込む155キロ直球を弾き返し、左翼手の頭を越える二塁打を放った。前出のスコアラーは「あの球は打者でもなかなか打てない。高橋奎二から打ったプロ初アーチもそうですが、内角の球に対して肘をたたんではじき返す技術が非常に高い。坂本勇人(巨人)を彷彿とさせます」と絶賛する。