ジャパネットの「長崎スタジアムシティ」がいよいよ開業、スポーツを核とした交流人口に期待、ホテル客室からアクティビティまで、現地取材した
民設民営の地域創生モデルの波及に期待
通販事業を営むジャパネットグループならではの取り組みも随所に見られた。ホテルの客室で採用されている「エアウィーブ」のベッドマットレスや枕、55型以上の大画面テレビ、ダイソンのドライヤーなどの寝具や家電、アメニティは購入可能だ。オフィス棟には、ジャパネットたかたのテレビショッピングで人気の商品を試せる体験型店舗「ジャパレクラボ(Japanet Recreation Labo)」を展開する。 ところで、なぜ、ジャパネットグループがこのような民設民営のまちづくりに取り組むことになったのか。V・ファーレン長崎のスポンサーをしていた同グループは2017年、経営不振に陥ったチームを「スポーツをする楽しさや感動を長崎から消したくない」という思いでグループ会社化。三菱重工業の長崎造船所幸町工場の売却について知り、「スポーツを核にした街ができることで、長崎を元気にできるのではないか」と再開発事業に乗り出した。2019年にリージョナルクリエーション長崎を、2020年には長崎ヴェルカを設立。長崎スタジアムシティのスタッフには、正規と非正規で合計1000人以上を地域採用した。 全国的にも珍しい大型複合施設の開業に地元の期待も高まる。内覧会では、長崎県の大石賢吾知事が「スポーツ観戦以外でも、産学連携や県外からの観光客を含めた交流人口の拡大や若者の流出抑制につながると期待している」、長崎市の鈴木史朗市長が「長崎市全体の経済効果にも波及し、新たなビジネスチャンスも創出されると考えている」とコメントを寄せた。 長崎スタジアムシティには、全国各地のスポーツクラブやデベロッパーなどが視察に訪れている。「民設民営で行ったスポーツを中心としたまちづくりという地域創生のモデルが全国に広がっていくことを心から望んでいる」と岩下氏。「箱はできたものの、最終的に事業として成立しないと次に続かない。しっかり収益が上がるモデルを作っていく」と意気込む。 サッカーやバスケットボールのファンだけでなく、地域住民や観光客の交流や集客も考え、整備された長崎スタジアムシティ。新たな地域創生のモデルとなることを期待したい。 取材・記事 ライター 南文枝
トラベルボイス編集部