東京・神田神保町「書泉ブックマート」閉店 残るグランデは「聖地」めざす
東京・神田神保町にある「書泉ブックマート」が9月30日に閉店する。出版不況が長引くなか、書店の閉店は日常的だ。「本や雑誌が売れない」という現実は、出版業界関係者だけではなく、多くの人が日常的に感じている。「経営合理化」が閉店の理由だが、書泉には「趣味人のための書店」としての強みがある。
趣味性の強い書籍に特化して営業
神田神保町では、一般的な書籍は「三省堂書店神保町本店」、読書人のためのものは「東京堂書店」と住み分けがなされてきた。そのなかで書泉グループは「書泉ブックマート」と本店の「書泉グランデ」の2店舗で、趣味性の強い書籍に特化して営業を行ってきた。 書泉広報は「本店に営業を一本化し、合理化を図る」と説明する一方、「書泉グランデ」と秋葉原にある系列店「書泉ブックタワー」とともに「鉄道ファンの聖地」、「アイドルイベントの聖地」として店舗づくりを進めて行く考えだ。「お客様の趣味の充実を支えられるよう、様々な“趣味人”のご要望に沿ったラインナップを目指したい」。 「書泉ブックマート」は、アイドルやプロレス書籍を扱う「男臭い」書店だったが、2012年の9月にコミック・ライトノベルを中心とした品揃えの店にリニューアルした。さらに2014年の10月には、女性向けのコミック、ボーイズラブコンテンツに特化した書店として、再度リニューアルしている。 一方の「書泉グランデ」の6階・鉄道書コーナーは多くの鉄道ファンに知られ、鉄道関連の書籍や鉄道雑誌だけではなく、そのバックナンバー、さらには自費出版物や大学の鉄道研究会の機関誌、最近では鉄道グッズも扱うようになっている。 「書泉ブックマート」から徒歩2分という非常に近い位置に、本店「書泉グランデ」があるため、「取扱いジャンルを分けて2店舗で営業するよりも1店舗にジャンルも集約したほうが、お客様もよりお買い物がしやすくなると考えています」と同社広報は説明する。「書泉グランデ」のコミックスコーナーも充実しており、一般向けのコミックスならそれでも十分だろう。