井上尚弥、昨年12月に世界戦の延期や中止が相次いだボクシング界 「ファンの方に向けて良いものを見せたい」
プロボクシングの4団体世界スーパーバンタム級統一王者の井上尚弥(31)=大橋=が8日、横浜市の大橋ジムで練習し、代表取材に応じた。IBF、WBO1位のサム・グッドマン(26)=オーストラリア=の挑戦を受ける4団体王座防衛戦(24日、東京・有明アリーナ)を控えている。今年の日本男子で最初の世界戦で、昨年12月に世界戦の延期や中止が相次ぎ、楽しみを先延ばしにされたボクシングファンの期待に応えることを誓った。 昨年12月24日にグッドマンと拳を交える予定だったが、同14日にグッドマンが左目の上に裂傷を負ったため、興行の1カ月延期が同日に発表されてから25日。井上が延期後初めて公の取材に応じ、延期を前向きに捉えた。 「(延期が試合の)10日前だったのでびっくりはしました。練習のペースは変えていないです。体力的にも精神的にもきつい部分はあった。ただ、仕上がり具合はすごくいいんじゃないか。もう最高に仕上がっている。1カ月延びたことで感覚、イメージもしっかりと整えることができた」 大橋ジムの大橋秀行会長(59)はインフルエンザが流行していることから、通常の公開練習ではなく報道陣の代表者が取材する形を希望。井上はシャドーボクシングや、アマチュア時代に2度全米王者となったWBC世界スーパーバンタム級37位のジェフ・ラミド(25)=米国=との6ラウンドのスパーリングなどを実施したという。 グッドマンがスパーリング中にカットした左目の上を狙うかを問われると「当たり前じゃないですか。勝負ですからね。そこは一つ大きな(グッドマンの)弱点になる。プロの世界は甘いものじゃない。そこも一つ、勝利の鍵になってくるところではある」と勝負師の顔を見せた。 昨年12月末に予定されていた日本開催の世界戦は井上vsグッドマンが延期となり、同興行で行われる予定だったWBO世界バンタム級王者の武居由樹(28)=大橋=が、同級10位のユッタポン・トンデイ(31)=タイ=と対戦する予定だった2度目の防衛戦は、武居が右肩を負傷したため中止に。さらに、大みそかに東京・大田区総合体育館で開催される予定だった前WBA世界スーパーフライ級王者で、現同級6位の井岡一翔(35)=志成=と、王者のフェルナンド・マルティネス(33)=アルゼンチン=のダイレクトリマッチは、マルティネスがインフルエンザに感染して中止となった。 世界4階級制覇王者の〝モンスター〟井上は「武居が中止、井岡選手が中止という中で、ボクシングファンの中には結構、うずうずしている方もいるんじゃないかな。そこはこの2025年(日本男子では)1発目の世界戦というのは自分の中で、ファンの方に向けて良いものを見せたいなっていうのはある」とボクシングファンのうっぷんを晴らす試合にする決意だ。
興行はNTTドコモの映像配信サービス「Lemino」で午後2時45分から独占無料生配信される。プロ戦績は井上が28戦28勝(25KO)、グッドマンが19戦19勝(8KO)、ラミドが13戦12勝(4KO)1敗。(尾﨑陽介)