阪神が東京ドームで巨人に勝てない理由…サンズ、大山、ボーアの不振だけではない”際のプレー”の軽さ
ボーアも10打席ノーヒット。8月に入って本塁打がない。相手バッテリーを警戒させ失投を誘うパワーあふれるスイングがなくなっている。 巨人で“参謀”を務めたこともある評論家の橋上秀樹氏は、シーズン中にチームが打撃スランプに陥る理由のひとつに「疲労」を挙げていたが、ボーアの不振理由にも、それがあるのかもしれない。阪神は、打線の組み替えを余儀なくされているが、ボーアに関しては、復調の手段として「休養」という選択肢があってもいいのかもしれない。 打線は水物である。山賊打線と恐れられた西武でさえ深刻な打撃不振で7連敗していた。こういう時期はある。だが、阪神が東京ドームで今季5戦5敗と、ひとつも勝てない理由は、それだけではない。“際“の勝負の弱さである。 巨人は7回一死三塁からタイムリー二塁打を放った坂本の代走に増田大を送り、原監督は三盗を仕掛けた。タイミングはアウト。だが、三塁のカバーに入った大山のタッチが甘かった。矢野監督はリクエストしたが、映像を見ると滑り込んでくる、その際に大山が強くタッチにいっていない。プレーが軽いのである。目に見えない小さなミスから、松原のプロ初打点となるタイムリーにつながり、丸の3ランなどで、この回、一気に5点を奪われゲームを決められてしまったのである。 一方の巨人は、初回に一死一、三塁から岡本のレフトへの先制タイムリーで、スタートを切っていた一塁走者のウィーラーは一気に三塁を奪った。サンズが打球処理に戸惑っていた隙を狙って三塁へ“ヘッスラ“を敢行した好走塁である。結果、丸の犠飛につながり追加点になった。巨人は、こういう”際“のプレーをひとつひとつモノにしていた。 4連勝の中日に追い抜かれ、首位・巨人とのゲーム差は今季最大の「7.5」と広がったが、チームに浸透させている「野球の質」の差が、そのゲーム差に表れているのかもしれない。