プロ初完封の広島森下と4戦4敗の阪神藤浪の何がどう違ったのか
広島のルーキー森下暢仁(22)が14日、京セラドーム大阪で行われた阪神戦で2安打12奪三振無四球の素晴らしいピッチング内容でプロ初完封、今季4勝目を挙げた。新人の完封勝利一番乗りで、今季4勝中3勝が阪神からという“虎キラー“ぶりを発揮した。対照的に阪神の先発、藤浪晋太郎(26)は6回8安打6奪三振4四球の6失点で4敗目。6回には森下にタイムリーを浴びる失態もあり、2018年9月29日の中日戦以来となる復活白星はまたしても手にできなかった。両投手の何がどう違ったのか。
29人目の打者となった中谷はピクリとも動くことができなかった。 森下が146キロのストレートをアウトローに決めての三球三振。初球に大きなカーブで目線を動かされた中谷には対応ができなかったのだろう。森下は、派手なガッツポーズをするでもなく、表情を少し和らげ、帽子をとり汗をぬぐい、マウンド上での勝利の儀式を待つまでもなくベンチへ下がろうとした。最後までマウンドにいたのは初めて。127球を投げ切った森下のプロ初完封勝利はとても初々しかった。 「初勝利の時は最後まで投げきることができなかったので、きょうはゼロで最後まで投げきることができて良かったです。前回は4点を取られたので、きょうは最後まで抑えるつもりでした」 敵地の京セラドームでのヒーローインタビュー。誠実な受け答えをした森下は、9回一死から3点を失い完封どころか完投も逃した6月28日の中日戦のプロ初勝利と、勝ち投手になりながら6回4失点した7日の阪神戦の反省がバネになったと明かした。 森下にはプロで成功するための学習能力がある。 阪神のスタメン全員から三振を奪った。 圧巻は近本、中谷、サンズを三者連続三振に取った4回である。近本を膝元のカットボールでスイングアウト。中谷を低めいっぱいの150キロのストレートで見逃しに。サンズは113キロの見送ればボール球となるドロンと落ちる大きなカーブでスイングアウトである。 森下に対して3戦3敗の矢野監督は、「すべての球種で三振が取れる」と森下を分析していたそうだが、まさに、その万能ぶりを象徴するシーン。 この日、森下は12個の三振を奪ったが、6個が見逃しで、いかにストライクゾーンギリギリに攻め込んでいたかがわかる。