感性かデータか…勝敗を分けた矢野vsラミレスの采配攻防
横浜DeNAと阪神の12回戦が12日、横浜スタジアムで行われ阪神が7-6で逆転勝ちを収めた。勝敗を分けたのは両監督の大胆な采配。矢野監督が2番で起用した中谷が逆転3ランを放つと回またぎ登板をさせたガンケルが踏ん張り投打の勝負手がズバリ成功した。一方、主力の故障欠場に苦しむラミレス監督が仕掛けたバント多用のスモールベースボールも成功したが、投手継投に誤算が続いた。両チームは揃って真夏の9連戦を戦ったが、横浜DeNAは6勝3敗、阪神は4勝5敗の成績だった。
プロ初2番起用の中谷が逆転3ラン
スタメンに名前を書き込むところから勝負は始まっていた。 阪神は、井上打撃コーチの発案で中谷をプロ入り10年目で初の2番で起用した。中谷は、巨人の原監督に野手の中継ぎ起用を決断させるに至った6日の代打満塁本塁打に象徴されるように、ここまで代打で10打数5安打9打点の数字を残して絶好調。さらに昨年は浜口に5打数2安打1本塁打と相性の良かったことが判断材料になったのだろう。 一方の横浜DeNAは”純国産打線”を余儀なくされた。 ラミレス監督は、試合前に「梶谷は、室内で別メニュー。ソトの出場は練習状態を見て決めたい」と語っていたが、結局、頼れるリードオフマンの梶谷は左足かかとの打撲、2年連続本塁打王のソトも腎盂腎炎の回復が思わしくなく欠場となった。7月31日の阪神戦でフェンスに激突したオースティンは「脳震盪、むちうち」と診断されて登録抹消中。ロペスもベンチに待機させ“飛車角抜き“のラインナップで真夏の9連戦のラストに挑む形になっていたのである。 矢野監督が「2番・ライト」で起用した中谷は、守りで手痛いミス。一回一死二、三塁から佐野のライト前ヒットを処理、スローイングに移る際にボールが手につかず、2人目の走者の生還を許した。エラーが記録され、早くもチームの失策数は12球団ワーストの34個である。だが、中谷は「ヤギ(青柳)に迷惑をかけて(バットで)取り返すと言っていた」と2番起用には満点の回答をしてみせた。 4回である。無死一、二塁から植田のバスター、青柳のバントと続けて失敗し、三塁へ走者を送れなかった。だが、近本のタイムリーで1点差に迫り、さらに二死一、二塁の場面で打席に入った中谷は、浜口のチェンジアップを豪快に引っ張った。逆転3ランが観客を入れていないレフトスタンドの前列で弾む。超攻撃的2番として中谷を起用したベンチの狙いはズバリ的中した。 矢野監督の「感性」の采配が冴えたのは継投策である。