自転車があれば海だって渡れる!? 愛媛県に引っ越してきた女子高生が送る、癒され必至のポタリング(チャリ散歩)ライフ!【書評】
“ポタリング”という言葉を知っているだろうか。走ることが目的のサイクリングとは異なり、自転車であちこち立ち寄りながらのんびり散歩することを、ポタリングというらしい。『しまなみぽたぽた 瀬戸内チャリ散歩』(東屋めめ/竹書房)では、女子高生たちがそんなポタリングを楽しみながら、さまざまなしまなみの景色や観光地を巡っていく日々が描かれている。 【漫画】本編を読む
主人公・林ななみは、親の仕事の都合で東京から愛媛県今治市に引っ越してきた女子高生。都会とのギャップが激しい今治での暮らしに適応するため、いっぱいいっぱい。だが、転校初日にもかかわらず、クラスメイト・鳥生カナと曽我みのりに誘われ、自転車(ママチャリ)でしまなみ海道に繰り出すことに。 バスも電車も本数が少ない今治では車移動が基本だが、学生は免許を持つことができない。しかし、自転車ならお金をかけずに好きなところへ行けるというのだ。さらには、しまなみ海道を通れば海さえ渡れるのだから、今治の高校生にとって自転車のポテンシャルはとてつもないのだろう。本作では、こうした「自転車での移動」だからこそ楽しめる景色やグルメなどを存分に味わうことができる。 自転車での散歩の楽しさを知ったななみは、生粋のインドア派にもかかわらず「ポタリング部」に入部することに。学校帰りにポタリングに繰り出しては、観光や食べ歩きを楽しむのだ。こうしたカナやみのりたち今治の高校生による観光地やおいしい郷土料理などの紹介を通して、愛媛県の知識をたくさん学べるのも魅力的なポイントだ。しまなみ海道最大級の橋「来島海峡大橋」やご当地ジュース「ポンジュース」など、愛媛らしさが全開に溢れている。 2巻では、今治城やご当地グルメ・焼豚玉子飯、花火大会などのエピソードが描かれており、ななみたちの女子高生らしい青春を楽しめるのもうれしい。4コママンガとしての構成は読みやすく、疲れているときでも何も考えず没頭できるので、しまなみの景色とポタリングの魅力をたっぷり堪能しながら癒されてもらいたい。 文=ネゴト / 押入れの人