「お前がやりたいことは何だ」…プー太郎寸前の「Fラン出身ダメ社会人」を変えた先輩の一言
きっかけをくれた先輩との会話
私も「いつまでもいられる職場ではないな」と思いながらも、「じゃあ、次はどこに行くのか。地方のFラン大学出身者でこれといった能力もない自分を雇ってくれるところなんてあるのだろうか」と思いながら悶々としていました。もし、辞めたら、社会人になって数ヵ月でプー太郎になってしまいます。さすがにマズイなぁ、頭の中でもう一人の自分がきます。 そんなある日、土居さんという先輩から「おごってやるから一緒に飲みに行こう」とお誘いを受けました。 説教されるのは嫌だなとは思いつつ、薄給の身としてはタダの夕食にお酒のおまけまで付くのですから、ありがたい話です。駅裏の飲み屋街にある居酒屋の隅の席で土居さんと差し向かい、つまみをつつきながら、ぽつり、ぽつりと仕事の話をしました。雑踏さながらの店内は仕事帰りの会社員で満席です。周囲の喧騒に遮られ、言葉が聞き取れない中、私の話を真剣に聞いてくれる土居さんに上手くは言えない温かみを感じました。
「どうだ、仕事は面白いか」
「どうだ、仕事は面白いか」 とても同意できない質問からのスタートです。 「いいえ、毎日が凄く辛いです。土居さんはどうですか」 私はすかさず聞き返しました。 「俺も仕事は辛いよ。誰だって雨に濡れて仕事をしたくないだろ。寒い日の外回りは身体に堪えるし、暑くて耐えられない日もある」 ほらね、先輩も同じだ。やっぱりこんな仕事なんて続かないと思いました。 「だがな、俺にはやりたいことがある。それがあるからいまの仕事を続けていられる」 「やりたいことって何ですか」 土居さんにこう問いかけると「俺が決めたことだ」とはぐらかされました。そして、たしなめるように切り返されました。 「俺が目指すものはお前とは全然違う。人は皆それぞれだ。自分で考えないと本当に目指すものにはならない。安易に人を頼るな」 あっさりと突き返されます。困惑気味の私にさらなる質問が飛んできました。