小林悠を見て、学び、盗め。貪欲に成長を期す川崎のルーキーFW神田奏真は、日の丸を背負って真価を発揮できるか【U-19日本代表】
試合勘に不安も「言い訳にしていたらプロでは戦っていけない」
高校時代は静岡学園でゴールを重ね、今季から川崎で技を磨くストライカー神田奏真が、アジアの戦いに向けて闘志を燃やしている。 【画像】トップリーグに続々参戦!2024年夏に海外で新天地を求めたサムライたち 9月25日にU-20アジアカップ予選(U-20ワールドカップの1次予選)の初戦を戦うU-19日本代表が、23日に開催国のキルギスでトレーニングを行なった。 現地入りして3日目。日本との時差は3時間しかないということもあり、選手たちは21日の早朝に到着した疲れを感じさせず精力的に身体を動かした。 今予選は4チームの総当たり戦。来年2月のアジアカップ本大会に勝ち上がれるのは、各組1位もしくは2位の上位5チームで、実力面を考えても日本の予選突破は問題ないはずだが、それでも簡単な戦いではない。中央アジアの気候は寒暖差があり、芝の状態も日本のように良いとは言えないからだ。 練習ではセットプレーの確認などにも時間を割き、勝負に徹する姿勢を見せるなか、今予選でエースとして活躍を期待されている神田のコンディションは良さそうだ。 川崎では一度も出番を得られていないが、来年5月のU-20ワールドカップを目ざすU-19日本代表にはコンスタントに招集されており、チームを率いる船越優蔵監督からの期待も大きい。試合勘の心配はあるが、本人は至って冷静だ。 「試合勘は難しいところだけど、言い訳にしていたらプロでは戦っていけない。自分にできることはやって、試合に向けてコンディションをしっかり持っていきたい」 クラブでは苦しい時期を過ごしているが、意欲は十分。ゲームに絡めなかったからこそ、できることに取り組んできた自負もある。 「自主練習できる時間があるので、積極的にシュートを打って確認をしてきた」 また、試合に出ていないからこそ、先輩たちから貪欲に“プロの技”を盗もうとしている。「学ぶことが多いので無駄にしない。自分の経験に変えられる部分がある」。今季ここまでJ1で12ゴールを挙げているFW山田新やフィジカルが自慢の助っ人FWエリソン、そして何より多くの学びがあったのは、クラブのバンディエラであるFW小林悠だ。 「一人ひとり特長が違うので、一概には誰からというのは言えないけど、僕は動き出しの部分で悠さんに学ばせてもらった」 今年で37歳を迎える元日本代表の点取り屋で、とりわけボールを引き出す動きは秀逸。最高のお手本が身近にいる環境で、神田も多くのことを吸収している。 プロの世界に入って9か月。今回のアジアカップ予選は自らの成長を示すにはもってこいの舞台だ。公式戦で日の丸を背負うという点も含め、自らの成長にプラスとなる。 「点を取って、チームを勝たせたい」とは神田の言葉。まずは25日のトルクメニスタン戦で結果を残し、勢いに乗りたい。 「試合で点を取ることがフォワードの僕としては一番評価される。それはどの試合であっても変わらないので、そこを突き詰めていきたいです」 背番号9を託された男のプレーに注目したい。 取材・文●松尾祐希(サッカーライター)