高校入試「満点主義」は一番危険 過去問は“大問”ごとに時間を測ろう 愛知の進学塾担当者のアドバイス
高校入試が近づいてきました。愛知県内で進学塾を展開する野田塾(本社・愛知県津島市)の進路指導統括・村上友哉さん(51)に、今シーズンの愛知県の公立・私立高校入試の傾向と、本番に向けてのアドバイスを聞きました。 ――中学3年生はいまどのような時期でしょう。 愛知県では2学期最後の定期テストが終わり、この結果をもとにした通知表を受験校に送ることになります。 数年前までは、1月の学年末テストの結果をもとにした通知表を公立高校に送っていましたが、入試が1カ月早くなり、中3の1学期と2学期のテスト結果を「総合評価」として高校に送ることになりました。このため、中3は1学期から勝負が始まるということです。 私たちの塾では9月から11月末にかけて、夏期講習のテキストを再活用させています。夏のテキストは中学の2年半分の内容が含まれていて、入試の出題範囲の3分の2を占めるからです。
公立も私立も、合否を決めるのは「合計点」
――入試は1月の私立高校から始まります。 私立入試は1月22日から24日の3日間にありますが、今シーズンの大きな特徴は、1日目の22日に東海、滝、愛知、愛工大名電、名古屋の5校が重なることです。人気校が5校重なることは稀なことです。東海高校の倍率は安定傾向ですが、他の4校の倍率は、1校に集中するなど余程のことがない限り、過去と比べて高めになりにくいと思いますので、積極的にチャレンジしてもらいたいと考えています。 私立の大半は通知表を合否に加味せず、入試の得点のみで決めています。教科ごとの配点や難易度もそれぞれ異なっていますが、これをあまり考えずに受験する生徒が少なくありません。例えば中京大中京、名城大附属は教科別の難度に高校の特徴が出ていると思います。 ――公立高校の入試は5教科とも同じ配点ですね。 1教科22点満点で、問題数も少ないため、得意科目だけで差をつけることは困難です。それだけにどの教科に力を入れるべきか迷うかもしれません。苦手教科ばかりやっていてもよくないし、得意科目ばかりでもだめで、バランスが大事です。 公立も私立も、合否を決めるのは「合計点」です。各教科で1問から3問ほどしか出題されない難問を心配して、そのような練習問題ばかりに時間をかける前に、確実に得点すべきレベルの問題で失点しないための学習に時間をかけるべきです。 どれだけ時間をかけてもわからない場合は、翌日以降に先生に質問することにして、今できること、今すべきことに注力してください。「満点主義」は受験で一番危ないことです。