「自分はADHDだ」と疑っている人が多い?SNSで多くみられる自己診断のリスクを米専門家が解説
ほとんどの場合、12歳未満のときに診断される「ADHD(注意欠陥・多動性障害)」。先日、アメリカで発表された調査によると、アメリカ人の成人の4人に1人が診断されていないADHDを疑っていることが明らかに。心理学者たちは、自己診断のリスクについても警鐘を鳴らしている。 【写真】「退学させられた」と語る人も…ADHDと生きるセレブ10人の告白
アメリカの4人に1人がADHDを疑っている?
オハイオ州立大学ウェクスナー・メディカル・センターと医科大学は、アメリカの成人1,000人を対象に新しい全国調査を実施。その結果、成人の25%(4人に1人)が自身がADHDである可能性を疑っていることがわかった。また回答者のうち、医師に相談したことがあると答えた人はわずか13%しかいなかったという。 この差について大学の研究者たちは、ADHDに関する動画がSNSで普及していること、そして話題になっていることが一因であると推測。実際に日本でも、『ADHDの特徴』『ADHDの頭の中』などといったコンテンツが、TikTokをはじめとするプラットフォームで多くの「いいね!」や再生回数を記録している。
自己診断が誤った治療につながることも
ADHDに関するコンテンツのコメント欄には、「全部当てはまっている」「もしかしてADHDかも」という声も多くあり、“自分はADHDである”と疑っている人が数多くいることがうかがえる。しかし、自己診断が誤った治療につながるのではないかという懸念も高まっているとのこと。 オハイオ州立大学精神医学・行動的健康学の臨床准教授である心理学者ジャスティン・バーテリアン博士は、このように語っている。 「不安障害やうつ病、ADHD、これらはすべてよく似ているように見えます。しかし間違った治療は、その人の気分を良くし機能を向上させるどころか、症状を悪化させる可能性があるのです」 また、上の世代に比べて若い世代は、診断されていないにもかかわらず「自分はADHDである」と考える傾向が強く、それに対して何かしらの行動を起こす可能性も高いことも同調査で明らかに。 『CNBC』によると、心理学者で『The Happy High Achiever』の著者でもあるメアリー・アンダーソン氏も、「集中力が続かなかったり、すぐに気が散ってしまうことは誰にでもあるでしょう。しかし、時々そういうことが起こるからといって、ADHDの診断基準を満たしているとは限りません」と話している。 またアンダーソン氏は、「ADHDだと思って来院した人が、実は不安症だったということはよくあります」と語っており、自分がADHDかもしれないと思ったら心理学者や精神科医といった専門家に診てもらい、正確な診断を受けることが重要だと強く訴えた。