沖縄が「重点措置」に慎重な理由は? 観光立県が抱えるジレンマ
「慎重の上に慎重」
「まん延防止措置を取ると行動や移動の自粛を伴う。県内経済にどのような影響を与えるかは言わずもがなだ。慎重の上には慎重に判断し、様々なエビデンスを的確に分析し判断することが肝要だ」 沖縄県内で過去2番目の感染数が発表された4月7日、玉城知事は改めて重点措置を国に要請しない理由を問われ、こう答えた。今後も高い水準での感染状況が続く場合には要請中の時短営業の時間前倒しなど、重点措置とは違う「強い対策」を講じると説明した。 重点措置に頼らず、感染拡大は食い止められるのか。知事のいう「様々なエビデンス」とは何なのか。県関係者はこう解説する。 「日々の感染者は増加傾向にあるが、(1人の患者が何人に感染させるかを示す)実効再生産数は下がってきており、流行はやがてピークを越えるとの専門家の試算もある。1月の流行時のような、高齢者を巻き込んだ深刻なクラスターも起こっていない。時短営業の効果を見極めるべきと判断に傾いた背景にはそういう裏付けもある」 大型連休のある5月は1~2日に東京五輪・パラリンピックの聖火リレーが県内を回る予定だ。一方で、4月21日までの時短営業期間中に狙い通りに県内の流行を抑え込めたとしても、県外との人の往来が活発化すればウイルスの「持ち込まれ」リスクも高まる。これまでの流行の大きな波も、県外との人の往来が増加する夏場や年末年始、春先に重なってきた。感染対策と人の移動を前提とする観光産業。この両輪をどうかみ合わせるのか。観光という「外需」に経済が依存する沖縄のジレンマは続く。