「ゲストはたくさん呼びたい」28歳新婦に”いい顔をしない”新郎が抱く違和感の原因
「大好きな人と楽しい時間を過ごす」
「最近では、祐介さんのように感じる方は少なくありませんよ」 そう伝えると、彼は「え?」という感じで私を見返しました。 「ゲストとして出席した結婚式で、楽しかった瞬間はどんな時でしたか?」 そう問いかけると、「友人たちとテーブルを囲んで、美味しい料理とお酒を楽しみながら、いつものように笑っていた時ですかね」と答えた祐介さんは、少しだけ笑顔を見せてくれました。 「素敵な時間ですね。まさに、それこそが結婚式の醍醐味だと思うんです。 美味しい料理を味わい、語り合い、笑い合う。その幸せな時を、大好きな人たちと共にする。シンプルにそれを結婚式の目的にすれば、いいのではないでしょうか」 「え、でも……」 祐介さんは、まだ戸惑っているようでした。 「結婚式当日は、祐介さんご自身もご友人のテーブルで一緒に食事を楽しまれてはいかがですか?」 「あ、そうしても良いんですか? 神田さんと話していたら、なんだか、気持ちが楽になりました」 結婚式という漠然としたイメージが、具体的な光景に変わった瞬間でした。友人たちとの楽しい時間を想像することで、彼の中で結婚式が「自分ゴト」になったのです。 「もちろんですよ! 今は、『こうあるべき』という固定観念に縛られる時代ではないですから。 ふたりがよければ、結婚式に壮大なテーマは必要ありません。大切な人たちと楽しい時間を過ごす。それだけで十分なのです」 ◇新郎の不安は取り去った、と思った神田さんだったが、実は新郎にはもうひとつ悩みがあった。後編「『結婚式に友人をたくさん呼びたい』新婦の希望に研究職の新郎が抱く『もうひとつの不安』」でお伝えする。
神田 裕子(トキハナ ブランドマネージャー・もとウェディングプランナー)