「ゲストはたくさん呼びたい」28歳新婦に”いい顔をしない”新郎が抱く違和感の原因
自分の結婚式なのに「他人事」
「なぜ祐介さんは、ご友人の招待を快く思わないのでしょうか? 何か心当たりはありますか?」 私は、彼女の気持ちを気にしながらも、慎重に質問を重ねてみましたが、理由は分からないようでした。しばらくの間、私は彼女の不安な気持ちに寄り添い、大切な友人たちとのエピソードに耳を傾けました。 この状況を打開するには、祐介さんの本音を聞くしかありません。 そこで後日、祐介さんも交えて、改めて相談の場を設けることにしました。その際、祐介さんに余計なプレッシャーを与えないよう、春奈さんとは初対面であるかのように振る舞うことにしました。 そして、結婚式の意義、希望、そして誰に感謝を伝えたいのかをそれぞれから聞きたいのだと言って、ふたり一緒ではなく、個々にヒアリングを行いました。 普通はふたり揃ってヒアリングを行うので異例ではありますが、パートナーに本音を明かすのをためらっている場合には有効な場合もあります。 初めてお会いした祐介さんは、私が想像していたよりも精悍な印象の男性でした。受け答えもしっかりしていて、言葉を選びながらも、質問にはきちんと答えてくれました。 すると祐介さんの言葉の端々から、自分の結婚式なのに、どこか他人事のような感覚を抱いていることが徐々に分かってきたのです。 彼にとって結婚式は、春奈さんのためにするもの。自分自身の希望や理想は持っておらず、「結婚式」というステレオタイプなイベントを、義務的にこなすだけのような感覚でした。 なぜ、祐介さんはこんな風に感じているのでしょう。 さらに面談を進めると、祐介さんが過去に何度か出席した結婚式に関係があることがわかりました。 それは、いずれも格式高いホテルの、フォーマルでトラディショナルな披露宴。楽しかったとは言いつつも、自分が新郎としてその場に立つイメージが持てず、新郎の役割に対してプレッシャーも感じているようでした。