千葉県内でSNS型ロマンス詐欺急増 1~4月の被害総額は2億3千万円
交流サイト(SNS)のやり取りを通じて恋愛感情を抱かせて現金などを詐取する「SNS型ロマンス詐欺」被害が千葉県内で相次いでいる。組織的な犯行の可能性が高く、主に投資に誘導する手口で1件当たりの被害額も大きい。県警はプロジェクトチームを設置して警戒を強めるとともに、注意を呼び掛けている。 【イラストで解説】国際ロマンス詐欺、手口の例 県警によると、県内の今年1~4月のロマンス詐欺の認知件数は前年同期比11件増の15件。被害総額は約2億3千万円で、前年同期の約600万円から急増した。平均被害額は約1500万円に上る。 被害者の7割超が男性で、40~60代が8割を占める。知り合うきっかけとなるのは、マッチングアプリやフェイスブックで、日本人のスポーツ選手や芸能人、投資家などをかたって近づく。相手に時間の猶予を与えない電話での詐欺と比べて、長い時間をかけてメッセージのやり取りを重ねて信頼関係を築き、カネをだまし取るのが特徴だ。 最終的に投資に誘導する手口が一般的で、取引相場を反映する自作のアプリをインストールさせて、虚偽の利益を表示するなどして信じ込ませるケースが多い。本物のアプリとの見分けがつきづらいという。 松戸市では、男性(77)がSNS上で知り合った日本と中国のハーフを名乗る女らから噓の投資話を持ちかけられ、現金約1億円をだまし取られる被害が発生。「私の叔父は大学の教授で、30年以上経済学のキャリアを持っている」などの説明を信じてしまったという。 相次ぐ被害を受け、県警は今年4月、「SNS型投資・ロマンス詐欺対策プロジェクトチーム」を設置。他の都道府県警とも情報共有するなどして犯行グループの実態解明を進めている。 水際対策にも積極的に取り組んでいる。金融機関やコンビニエンスストアに手口を説明するなどして注意喚起。いすみ市では今年4月、千葉銀行大原支店の男性行員が、宇宙飛行士を名乗る男からカネを要求されて振り込むために同店を訪れた60代女性にロマンス詐欺の疑いがあることを説明し、被害を食い止めたケースがあった。県警いすみ署幹部は「SNSで知り合った人物からカネを要求される時点でまず詐欺を疑ってほしい」と呼び掛けている。 県警の宮沢忠孝本部長は17日の記者会見で「極めて憂慮すべき状況だ」と強調。「今後とも被害状況や犯行手口を踏まえ、関係機関と連携した被害防止対策を推進していく」と述べた。(松崎翼)