プロツアー14勝を挙げた『ZX5 Mk Ⅱ』とはどこが違う?『スリクソン ZXi5アイアン』【ヘッドデータ分析で判明】
今回は『スリクソンZXi5アイアン』を紹介します。スリクソンのアイアンといえばナンバリング毎にコンセプトの違いがあり「4シリーズ」は飛び、「5シリーズ」は飛び、操作性、やさしさ、そして「7シリーズ」は操作性と打感を追求したと謳っています。クラブ設計家の松尾好員氏によれば「今モデルは前モデルを継承している」と言います。昨年、国内男女ツアーで14勝を挙げクラブ・オブ・ザ・イヤーを受賞した『ZX5 Mk Ⅱアイアン』と比較しながら考察してみた。
もはや「5シリーズ」は完成されている?
GD 今回は『スリクソン ZXi5アイアン』(以下、ZXi5)を前モデルの『ZX5 Mk Ⅱアイアン』(以下、ZX5 Mk Ⅱ)と比較しながら分析していただきます。スリクソンの「5シリーズ」というと、操作性、飛び、やさしさを網羅している印象があります。今モデルはどんなアイアンになっているのでしょうか? 松尾 そうですね。全体的に前モデルから継承されている部分が多いです。見た目で言えばスリクソンのアイアンの特徴であるフェース側、トレーリングエッジ側が削られている「V字型ソール」は引き続き採用されています。
GD 実践型アイアンであることは変わらないわけですね。ヘッドデータはどんな結果になっているんでしょうか? 松尾 ソール関連で言うとバウンス角(フェース側)は『ZX5 Mk Ⅱ』が16.0度、『ZXi5』が15.8度と「非常に大きい」設定は変わっていません。これだけの大きさに設定されているおかげで抜けの良さに繋がっています。 GD ヘッドの操作性はどうなのでしょうか? 松尾 ネック軸回りの慣性モーメント(基準値:5500~5999g・㎠)を見てみると『ZX5 Mk Ⅱ』が5366g・㎠、『ZXi5』が5360g・㎠と小さく抑えられているので、弾道の打ち分けが出来るヘッド性能も継続されています。 GD 飛距離性能はいかがですか? 松尾 リアルロフト角が『ZX5 Mk Ⅱ』は31.0度、『ZXi5』が30.8度と同等な設定です。ストロング過ぎない“やや立ち“で飛びだけでなくしっかり狙える値と言えます。またデータ以外だとフェースに使われている素材も弾きの良い物なので飛距離性能は変わっていないです。 GD 飛びも操作性も変わっていないとなると、どちらを使うか甲乙つけ難いですね。 松尾 そうですね。他にもヘッドの慣性モーメント(基準値:2600~2799g・㎠)を比較すると『ZX5 Mk Ⅱ』が2491g・㎠、『ZXi5』が2426g・㎠と小さいので、今モデルも打点ブレへの強さを求めたヘッド性能にはなっていません。 GD 正確なミートが得意なゴルファーが扱えるアイアンというわけですね。 松尾 はい。あとはアドレスした時のアップライト感や小ぶりなヘッドで素直に構えやすいといった雰囲気も継承されています。つまり大きなモデルチェンジがされていないことを踏まえると、「5シリーズ」はある程度完成されていると言えますね。 GD もし前モデルから今モデルへのスイッチを考えているゴルファーがいたらどうでしょうか? 松尾 ヘッドデータ的には大きな変化はないので好みの問題になると思います。2モデルに共通しているのは特徴的なソール形状と大きなバウンス角、そして打点ブレに強くないヘッドですから、安定してダウンブローに打ち込めてミート出来るゴルファーが使いこなせるアイアンです。ご自身のスウィングタイプや技量に応じて決めると良いでしょう。