改正子ども・子育て支援法が成立 子育て世帯にとって何が変わるのか?
■「こども誰でも通園制度」の課題を指摘する声も…
この法律で創設される「こども誰でも通園制度」は0歳6か月から3歳未満で保育所や認定こども園、幼稚園などに通っていないこどもや保護者の孤立を和らげるほか、同年代や保護者以外の大人とふれ合う機会を提供するなど、育ちを応援することが狙いだ。親の就労有無にかかわらず時間単位で利用可能になる。 2023年度にこども誰でも通園制度のモデル事業を行った認定NPO法人フローレンスの赤坂緑代表理事は、制度実現について「長い間変わらなかった保育制度が変わり、全てのこどもに開かれたことは大きな一歩」と評価した一方で、「モデル事業を行って様々な課題も分かった」と話した。 まずは利用できる時間の上限について。今回は全国一律の給付を想定しているため「月10時間まで」とかなり短時間だが、赤坂氏は「週2回など定期的に同じ園に通える時間を確保することが、より良い制度につながる」と話す。定期的に同じ場所に通えることでこどもや保護者、そして実際に現場でこどもと向き合う保育士にも良いことがあるという。 こどもにとっては場に慣れて新しい友達ができたり、「周りの子が食べているから自分も食べてみよう、やってみよう」という気持ちから成長が促されたり、新しい興味を持つことにつながる。 保護者からは8時間ずつ週2日を約半年間利用したことで「保育士が一緒に育ててくれる、一緒に成長を喜んでくれるのがうれしい」といった声や「保育士と定期的に話すことで安心感があり、孤独感が和らいだ」「心に余裕ができてこどもへの愛情が増した」といった声が聞かれたという。 現場でこどもと向き合う保育士からは「こどもの性格や特性に合わせて、より良い発達に向けた対応ができる」「孤独な子育てをしていた人がこれほど喜んでくれるならやって良かった」といった声があがったという。 一方で週2日、定期的に利用できるようにするには大きな課題があると赤坂氏は言う。そもそも業界全体が人材不足で、この制度実現にはさらなる保育士の確保が必要であること、こどもを受け入れるための事務手続きで現場の作業が増えることが予想され、パートを雇う必要がある可能性などだ。