改正子ども・子育て支援法が成立 子育て世帯にとって何が変わるのか?
少子化に歯止めがかからない中、来年度から、総額3.6兆円に及ぶ「こども・子育て支援加速化プラン」を政府が実行するための「改正子ども・子育て支援法」が5日に成立した。その中には、公的医療保険料に上乗せして集められる「子ども・子育て支援金制度」の創設も盛り込まれた。法改正で何が変わるのか?
■子ども・子育て支援金制度とは
支援金制度は社会全体でこどもや子育て世帯を支えるという理念のもと、個人と企業などから公的医療保険料に上乗せして、約1兆円を集める制度。 2026年度から段階的に徴収し、満額となる2028年度の負担額は、入っている保険ごとに違い、自営業者は1世帯あたりの平均で月に600円程度、中小企業勤務の会社員ではその本人1人あたり月平均700円程度が見込まれている。(会社員は給与額に応じ金額が異なる) 支援金の使い道は法律で定められていて、主なものは、児童手当の所得制限撤廃、高校生年代までの延長(今年12月支給の10月分から)や親の就業にかかわらず保育園に一定時間通える制度などだ。 政府は支援金制度の創設で、こども1人が0歳から18歳までに受ける給付額は平均約146万円増えるとし、今の平均的な児童手当額約206万円とあわせると、合計352万円になると説明している。また、支援金以外の約2.6兆円は歳出改革などで確保するとしている。
■何が変わるのか?
子育て世帯からみるとどんなサービスが受けられるのかみていく。 まず妊娠期からスタートするのが「伴走型相談支援」。孤立や不安をやわらげるため、妊婦やパートナーが市区町村の担当者に、身の回りの様々な相談をできるほか、経済的な支援もある。 妊娠届け出時、出産間近、出生届け出時の3回面談を行うが、このうち1回目、3回目の面談を受けると、それぞれ5万円相当の出産応援ギフト(クーポン券など)を受け取ることができる。 その後も継続的な相談が可能で、地域の相談機関が子育てイベントを知らせるなど支援が受けられるというが、真の「伴走型」としてきめ細かく必要なサポートができるのかが問われる。 出産後は、退院直後の母子に心身のケアや育児のサポートなどをする「産後ケア」や50万円の「出産育児一時金」が受け取れる。さらに児童手当、住宅支援、男女ともに育児休業を一定期間以上取得した場合に手取り10割となる育休給付やこども誰でも通園制度など、ライフステージに応じた仕組みが用意されているという。 政府は「すべての妊婦や子育て家庭が安心して出産、子育てができる環境を整えたい」としている。