「日朝議連内閣だ」首相、外務、防衛主要3大臣がメンバー、対北融和警戒 保守党・島田氏
今年2月の総会では岸田文雄首相(当時)の早期訪朝を求める決議を取りまとめようとしたが、国民民主党の玉木雄一郎代表らが、「北朝鮮の動きに真摯(しんし)に対応すべき」などとした当初案の記載を問題視。大幅に修正された。
玉木氏は総会後、X(旧ツイッター)に「朝鮮総連が起案したかと思うような文案には賛成できませんでした」と記した。
島田氏は日朝議連について、「国交正常化ありきで、その後に諸課題の解決を図るという、いわゆる出口論に立っている」と指弾。今月11日には、日本保守党衆院議員として、拉致問題解決に向けた石破内閣の基本姿勢を問う質問主意書を政府に提出したが、その書面でも、「こうした背景を持つ人々によって構成されている内閣が、『最重要課題』である拉致問題にいかに取り組むのか。北朝鮮側の意向を大いに汲(く)む形となるのではないかとの疑念が払拭(ふっしょく)できない」とぶつけた。
■横田早紀江さんの訴えを隣で…
当の石破氏は、別組織である拉致議連にも所属している。
平成14年の日朝首脳会談時は、拉致議連の会長として、被害者家族らが東京都内で開いた会見に同席。横田めぐみさん(60)=拉致当時(13)=の母、早紀江さん(88)が、めぐみさんを「死亡」とした北朝鮮側の説明について、「信じられない。今後も生きていると信じて闘っていく」と涙ながらに訴える様子を、すぐ隣で聞いていた。
だが、その後に防衛庁長官(当時)に起用されると、対北経済制裁などに慎重な姿勢を示すようになる。被害者家族会の立場とは対極にあるもので、関係は疎遠に。次第に日朝議連側へと活動の軸足を移していった。
今回衆院選で初当選した島田氏は出馬直前まで、被害者家族と方向性を一にする支援組織「救う会」で副会長を務めるなど、拉致問題への見識が深い。一方で今国会で実施された委員会人事では、「北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会」入りは実現しなかった。同委員会委員長には立憲民主党の牧義夫氏が就いた。
島田氏は、「自民など多数の席を持つ党から、1つ譲るくらいの気概がほしかった」と率直な心境を明かした上で、「現政権の拉致関連のスタンスには危機感しかない。変な方向に行かないように、今後も積極的に質問主意書を提出するなどして、厳しく監視していきたい」とした。