「妻と浮気相手の間に生まれた子」を見捨てられなかった夫の悲哀。養育費を支払う“条件”は離婚翌日に破られ…
どんな理由があろうと托卵は「不倫」
さて、男性は離婚後、すぐに再婚することが可能です。一方、女性は離婚後、一定期間は再婚することが禁じられていました。具体的には2016年より前は6ヵ月、先は100日ですが、2024年から妊娠していないことを証明すれば、男性と同じく、離婚後、すぐに再婚できるようになりました。もし、妻が妊娠していないのなら、役所へ婚姻届に加え、医師が発行した証明書を提出すれば良いのです。妻が離婚の翌日、元彼と再婚したことを優斗さんが知ったのは後日のことです。 ここまで優斗さんの葛藤を見てきましたが、優斗さんに特段の問題がなかったので言うべきことを言うことができました。一方、今回のドラマはどうでしょうか? 長年、夫のいじめや差別、モラハラに苦しみ、悩み、虐げられ続けてきたので、まともな精神状態ではない。たまたま優しい男性が現れたら、「ここから逃げ出したい」という一心で、心を預け、体を許してしまうのも無理はない。妊娠したのはあくまで結果論で、大事なのはそこではない。 夫の悪態を殊更に強調するとどうなるのか。一歩、間違えれば、「托卵」を正当化することになりかねません。今回の主人公はあくまで妻です。彼女を「悲劇のヒロイン」に仕立てれば仕立てるほど、その印象は強くなります。 どんな理由があろうと托卵は「不倫」です。そして損害賠償請求の対象(民法709条)。精神的苦痛の対価として慰謝料を請求されてもおかしくありません。本当に精神的苦痛を受けるかどうかは夫次第ですが、とはいえ、妻の立場で「あんな夫はどうなってもいい」と侮ることは許されません。どんな夫であろうと「傷つけていい」わけではないのです。ドラマの視聴者はそのことを混同しないように注意してください。 <TEXT/露木幸彦> 【露木幸彦】 1980年生まれ。国学院大学卒。行政書士・FP。男の離婚に特化し開業。6年目で相談7千件、「離婚サポートnet」会員は6千人を突破。「ノンストップ」(フジテレビ)、「ホンマでっかTV」(フジテレビ)、「市民のミカタ」などに出演。著書は「男のための最強離婚術」(7刷)「男の離婚」(4刷)など11冊。 公式サイト X:@yukihiko55 ブログ:法律でメシを食う若造のブログ Facebook:yukihiko.tsuyuki
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