「妻と浮気相手の間に生まれた子」を見捨てられなかった夫の悲哀。養育費を支払う“条件”は離婚翌日に破られ…
「妻がそんなことをするわけがない」と自分に言い聞かせた
まず性格ですが、優斗さんは引っ込み思案で口数が少なく、1人でいるのが好きなタイプなのに息子さんは大勢に囲まれているのが好きで、思ったことはすぐに口にタイプ。だから、ちょっとしたことでぶつかることが多かったのですが、思い返してみれば、優斗さんは自分の父親とも喧嘩することが多かったようです。そのため、父と子は「そういうものだ」と割り切っていました。 次に優斗さんと妻は一重で切れ長のソース顔なのに、息子さんはばっちり二重のしょうゆ顔。夫婦と似ても似つかないので首をかしげることが多々ありました。筆者は「小さい頃は毎日、顔が変わるものですよ」と諭しました。「僕も妻も血液型はO型、でも息子はB型。産まれてくるはずがないのに……」と苦虫を噛み潰しますが、「血液型がすべてではない」と気にしないようにしたのです。 迷いに拍車をかけたのは妻が長男を妊娠した3年前。夫婦はセックスレスではなく、1ヵ月に1回ほどの夫婦生活はあったそうです。もし、長男が優斗さんの子でなければ、妻には表の顔(いい奥さん)と裏の顔(不倫妻)があることを意味します。優斗さんは「妻がそんなことをするわけがない」と自分に言い聞かせたのです。
普段おとなしい妻の「態度が急変する日」が
筆者が「全く何も心当たりがないんですか?」と尋ねると、優斗さんは首を横に振ります。「僕と知り合う前に付き合っていた元彼かな……」と口ごもります。元彼はもともと建設業を営んでおり、妻も彼の仕事を手伝っていました。それが、脱税の容疑で逮捕され、懲役2年の刑を科されたのですが、それが当時別れたきっかけでした。 「当時の妻は彼に振り回されて疲れ果てていました。脱税とは別に、居酒屋で暴れて捕まったこともある、ヤバい奴なんです」と振り返ります。そんな妻を救ってあげたい。こんな僕でよければという流れで付き合い始め、そして結婚したそうです。現在、彼はすでに出所しており、妻と連絡をとることも、直接会うことも可能といえば可能です。優斗さんは「まさかとは思いますが……妻もかなりひどい目に遭ったのだから」と首を振りますが、「そういえば」と思い出しました。 「いつもの妻」はいわゆる三歩下がって歩くタイプ。「はい」「うん」「そうですね」と上手に合槌を打ってくれるのです。亭主を立てる謙虚で健気な性格です。妻は自分から話しかけてくることがほとんどなく、優斗さんは「僕が仕切らないと会話が続かないんですよ」と自嘲気味に語ります。 奇妙なことに、妻の態度が急変する日があると言います。例えば、きつい目で優斗さんのことを睨みつけ、罵詈雑言をぶつけてくるのです。例えば、「ユニクロのGパンなんてぜいたくじゃん?!ジーユーにしなよ!」「本当にボーナス、これぽっちなの?!何年、同じ会社に行ってんだよ!」「スポーツクラブで運動するなんて何様のつもり? こっちは陸斗(長男の名前)のお世話でくたくたなんだけど」と。いきなり守銭奴の顔に変貌するのです。