東京メトロは上場でどう変わる? 新線建設、都営地下鉄との一元化…鉄道専門家の見立て
10月23日、東京地下鉄(以下、東京メトロ)が東証プライム市場に上場した。IPO(新規株式公開)価格は1株1200円、上場後、買い注文が殺到してなかなか値が付かず、10時過ぎにようやく1630円という初値が付いた。まずは順調な滑り出しだ。上場後の東京メトロは、どう変わるのか、あるいは変わらないのか、考えてみたい。 【画像】「観光列車」満足度ランキング! 一生に一度は乗りたいおすすめTOP10
◆購入希望者が殺到した東京メトロ株
東京メトロのIPOは予想以上に取り引き希望者が殺到した。個人投資家の場合は、競争率は15倍以上だったといわれている。筆者は東京メトロの沿線住民であり、日常的に利用しているので優待乗車券を活用したく、多めの株数で口座を持っている証券会社2社に応募した。しかし、当選したのは1口100株のみ。やや残念な結果だった。 優待がもらえるのは200株からなので、早速上場初日に市場での購入を目論(もくろ)んだ。ところが、予想以上の初値だったので、寄り付き前の指値では購入できず、午後になってようやく1740円で約定(やくじょう)。なんとか当面の優待をもらえる権利は確保した。といっても、100株でもらえる優待乗車証(東京メトロ線に片道1回乗車できる乗車証)は半年で3枚と少ない。3月末の権利確定日までには、あと数百株購入したいと思っている。
◆株主優待&魅力的な配当利回り
東京メトロ株に個人投資家が殺到した理由は、優待もさることながら、鉄道株の中では配当金が高いことも挙げられる。年間配当金は、2025年3月期は1株40円を予定している(中間配当はしない方針)。10月24日の終値1702円で計算すると配当利回りは2.35%。 鉄道株は、全体的に配当利回りは高くなく、JR東日本(東日本旅客鉄道)=1.74%、東急=1.20%、小田急電鉄=1.92%、阪急阪神ホールディングス=1.48%など1%台のところが多いので、JR九州(九州旅客鉄道)=2.35%と並んで魅力的ともいえる。優待は、株主優待乗車証が200株で3枚(半年分)、400株で6枚……1万株以上だと全線定期乗車証(有効期間中、東京メトロ線内を何度でも利用できる定期券)が1枚もらえる。 そのほか、ECサイト「メトロの缶詰」300円引きクーポン(3000円以上購入につき)、「地下鉄博物館」無料招待券5枚、「そば処めとろ庵」かき揚げトッピング無料券3枚、ゴルフ練習場「メトログリーン東陽町」入場無料券(平日限定)5枚といった関連施設での各種優待券が用意されている。ただし、魅力的に感じる人は少ないかもしれない。