韓国の尹大統領に出国禁止措置、「非常戒厳」巡り警察が捜査チーム
(ブルームバーグ): 韓国法務省は、尹錫悦大統領に対する出国禁止措置の申請を受理した。同措置は、大統領による「非常戒厳」について捜査している高位公職者犯罪捜査庁が申請していた。大統領は7日、弾劾訴追案を辛くも切り抜けたものの、一連の捜査で厳しい立場に追い込まれている。
警察庁の禹鍾壽国家捜査本部長によると、同本部は戒厳令宣布について捜査するため150人から成るチームを立ち上げた。また、聯合ニュースが匿名の警察当局者1人を引用して報じたところでは、大統領の緊急逮捕も検討されているという。
検察は既に独自の捜査に着手。週末に金龍顕前国防相を緊急逮捕した。
9日の韓国市場で、韓国総合株価指数は前週末比2.8%安で終了。小型株中心のコスダック指数は5%余り下げ、2020年4月以来の安値で引けた。通貨ウォンは対ドルで約1%下落した。
検事出身で朴槿恵元大統領の地位乱用事件を追及して名を上げた尹氏にとって、検察の捜査開始は劇的な展開となる。朴氏は最終的に弾劾、収監された。
尹氏による非常戒厳宣布の余波は8日も続き、李祥敏行政安全相が混乱の責任を取り辞任した。
国民の怒りが強まる中、尹大統領の支持率は1桁台に近づいている。
与党「国民の力」の韓東勲代表は「大統領は退陣までの間、外交を含む国政には一切関与しない」と表明しており、今回の措置はおおむねシンボル的な意味合いを持つとの見解を示した。
同氏は8日、尹氏の秩序ある退陣計画を党として準備しつつ、その間は韓悳洙首相が国政のかじ取りを担うと発表し、事態を落ち着かせようとした。
これに対して議会で過半数を占める野党は、韓首相が大統領の役割を掌握する与党案は「憲法違反であり、無政府状態をもたらす」と非難していた。
禹氏によると、警察は「非常戒厳」発令への関与を巡り金前国防相の自宅と事務所を捜索。野党が内乱罪で金氏と尹大統領に対する弾劾訴追案を提出した後、同氏は国防相を辞任していた。