「筋子」と「イクラ」の違いって?プロ直伝「自家製イクラのしょうゆ漬け」の作り方も紹介
時吉さん直伝【自家製イクラのしょうゆ漬けの作り方】
(1)筋子をほぐす 60℃の塩水(濃度3%)を作り、筋子を入れて菜箸でぐるぐるかき混ぜる。薄皮が菜箸にまとわりついたら取り除く。 (2)水がきれいになるまで洗う ザルにあげて湯を捨て、粒がほぐれるまで3~4回水で洗う。残った薄皮を手で優しく取り除きながら、水がきれいになるまで続ける。粒が全部ほぐれたら、最後に塩水にくぐらせる(または、後述するしょうゆ洗いをする)。 (3)調味液に漬ける しょうゆ、みりん、酒を1:1:1で混ぜ合わせ、煮切ってアルコールを飛ばし冷ました調味液に、ほぐした粒を漬け込む。好みでだしを加えてもOK。味付けは好みで調整を。 (4)冷蔵庫で漬け込む 冷蔵庫で2~3時間ほど置いたら完成! 「以前は40℃のぬるま湯でほぐすのが一般的でしたが、最近はアニサキスへの対処から60℃が推奨されています(アニサキスは60℃で1分加熱すると死滅するといわれています。※厚生労働省のHPより)。 湯に入れるとイクラは白く変色しますが、また調味液に漬けると色は戻るので、安心して進めてください。また、漬け込む前にしょうゆで洗うと、水っぽくならず、より味がなじみやすくなります。これは“しょうゆ洗い”や“むらさき洗い”と呼ばれる方法です」 私も初めて作った時はイクラが白くなるので、「え? 大丈夫かな?」と不安になりましたが、驚くほどきれいな色に戻ります。来年は時吉さんおすすめの“しょうゆ洗い”をぜひ試してみようと思います! ♦︎おすすめの食べ方は? 「イクラはまさに赤い宝石。少量のせるだけでグッと華やかになるので、お祝いごとの料理には欠かせない存在です。 松前漬けにのせたり、なますを入れた柚子釜に飾ったり。余ったら、大根おろしやきゅうりのすりおろしや、短冊切りにした長芋にのせたりしても、粋な箸休めになりますよ。私は旬の時期に自家製イクラを作ったら冷凍しておき、おせち料理にも使っています」 もし、イクラを漬け過ぎて味が濃くなってしまった場合は、200mlにみりん小さじ1、ひとつまみの塩を入れて混ぜ、そこに漬けたいくらを入れると、塩抜きできるそう。 「料理ではよく“呼び塩”などと言いますが、これは浸透圧を利用して、塩分が濃い食材から薄い塩水へと塩分を移動させ、塩を抜く方法です。お正月の料理では、数の子の塩抜きでも使いますね」 一方、「筋子の塩漬けもねっとりして美味」と時吉さん。 「筋子の塩漬けは、おにぎりの具にしたり、お茶漬けにしたり、ごはんとの相性抜群です。 もともと鮭の産地である北海道や東北で、長持ちさせる保存法として筋子の塩漬けは活用されてきました。昔の人の知恵ですね」 お正月の料理を華やかに彩ってくれるイクラは、もとを正せば筋子でした。今年は赤い宝石をぜひお正月に味わってみてはいかがでしょうか。 取材・文/岸綾香
時吉真由美