「中国が改修」セルビアの駅崩壊で高まる不信感 「一帯一路」の一環、不透明さに市民らが抗議デモ
不透明性や懸念だけでなく、実際に不信感を抱かれるような事態も起きている。車両などの競争入札において、中国政府から多額の補助金を受けたとされる中国企業が同業他社と比較してかなりの低額で受注を獲得した例もあった。EUでは外国からの補助金を受けた企業による入札に規制があり、この件は違法とみなされてブルガリアの鉄道車両受注案件では入札中止という事態になった。 ■改修工事と崩落の関係は明らかになるか 経済的に決して裕福とは言えない国々にとって、中国によるインフラ整備などを含めた大型融資の話は非常に魅力的に映ることだろう。ただ、価格を下げるための低品質な製品の使用や手抜き工事によるトラブル、後のメンテナンスに支障をきたすといったリスクと隣り合わせでは、長期的にはその国にとってマイナスになることもありうる。
今回の崩落事故と中国企業による改修工事との関連は本当になかったのか、残念ながらすべて明らかになる可能性はかなり低そうだが、火消しに必死のセルビア政府の動きとは対照的に、国民感情が晴れることは当面なさそうだ。
橋爪 智之 :欧州鉄道フォトライター