はやぶさ2最後のミッション JAXA会見(全文1)わりといい結果が出た
無事に撮像できる設計と運用にした
これ、最大露光なので、小惑星とかが少しでも入ってしまうと、もう画像自身が全部白飛びしてしまうような難しさがあったんですけど、ここは軌道制御や、姿勢を正しく運用中に制御することで、無事に撮像をできるような設計と運用にしました。 今回はローバーの軌道全体が撮れるようではなくて、このように小惑星をよけて撮らなきゃいけないので、ローバーがカメラの視野に入ってくる、ひゅっと入ってくるその時間帯を狙って撮らないと、せっかくシャッターを切ったのにローバーが全然中にいませんでしたということになってしまいかねません。なので、撮像感覚を10分間という短い時間にして高頻度で撮るという設計にいたしました。また、撮像した大量の画像からONCチームが、非常に頑張っていただきまして、ローバーを探し出すという運用を実施いたしました。 3番目は「自然な運動に沿った精度のよい」低速降下・上昇・ホバリングの実現っていうことで、これはリハーサルと位置付けられていたターゲットマーカー周回運用でしっかりと経験を積んで、この運用も熟達して、この運用に望むことができました。
ONCチームが運用中に見つけてくれた
次が、これがMINERVA-II2のローバ2の分離運用になります。最初にローバ2を捉えたのが左側のONC-W1というカメラになっています。このように、今少し左に動いて、また右に動いていくという様子が映っています。このちょっと丸で囲まれているところがローバ2なんですけど、これはONCチームの方が運用中に見つけてくださったんですけど、私はちょっとこれを見てもまだあまり、本当なのかなと自信が持てなかったところがあったんですけど、そのあとに撮られたTの画像では、もうはっきりと鮮明にこのローバーの様子が映っております。これで飛行している様子がしっかり捉えられました。なので、このほとんどノイズじゃないかなと正直見えるような画像も、ONCチームの方はローバーだと言って見つけてくださって、これはすごいなと運用中に私は思っておりました。 実際に次のページで、W1の視野とTの視野を重ねた画像をお見せするんですけれども、これはほぼ同じ時間に撮像したんですけど、ちゃんとW1で撮った場所の基点のところにTでも基点が存在していますので、これは間違いなくW1もTもローバー自身を撮像したものとわれわれは考えております。 次に、いろいろこの運用で得られた結果を、観測量を踏まえて推定した運用結果がこちらになります。推定軌道と書いてあるんですけど、ローバーは、ローバー分離位置と図の中で書いている場所で分類されました。その後、ちょっと、ごめんなさい、青線がかぶってしまってるんですけど、緑の点に沿って、ぐるっとまずは1周していきます。その後、分離位置の近くに戻ってきて、もう少しした、2.5周ぐらいしたところで小惑星の表面に落ちたのではないかと、観測量を使って軌道を推定した結果、今考えられてます。なので、小惑星に到達することができたと今は考えています。ONC撮像も分離時の撮像のほかに、分離時も撮像を実施していて、これも成功したんですけど、周回中の観測も、先ほどお見せしたとおり成功しています。それが軌道推定で言うと赤の線が付いているところが、先ほど撮った画像に相当すると考えています。 【書き起こし】はやぶさ2最後のミッション JAXA会見 全文2に続く