はやぶさ2最後のミッション JAXA会見(全文1)わりといい結果が出た
MINERVA-II2の分離運用
吉川健人:ターゲットマーカーとローバ2、MINERVA-II2の分離運用に関して航法誘導を担当しております吉川からご報告させていただきます。まず7ページですけれども、ターゲットマーカーとローバ2の周回とローバ2の着陸で、先ほど吉川先生からご説明があったとおり、これが「はやぶさ2」としては最後の小惑星近傍でのミッションとなりました。「はやぶさ2」は普段はホバリングをして高度を維持していますので、今回のこの周回運用ということで、今まででは使っていなかったような、より高精度な重力計測の運用をわれわれは今回の運用で成功させることができました。「はやぶさ2」プロジェクトとしては、小惑星を骨の髄までしゃぶり尽くす探査をできたかなと思っております。 具体的にターゲットマーカーの運用の結果をご報告させていただきます。こちらは今、7ページに出ているのが概要でして、高度20キロから低速降下でゆっくりと下りていきまして、分離高度1キロのところで2個のターゲットマーカーを分離します。その後、この分離の様子を観測するために太陽を背にした位置でONC、光学カメラによって撮像を実施したというのが大まかな流れとなります。 次のページに実際のこの運用でポイントとなる技術的な事項が3点ありまして、1つ目はマル1と書いていますけれども、ターゲットマーカーの軌道投入でどのような軌道を選択するかというのが1つポイントになります。真ん中の図が設計時に使っていました探査機から見たときのターゲットマーカーがどういうふうに回るかというのの設計時の予測になっています。1つは極軌道と呼ばれて、安定かつ周回の観測性がいい。だから今見ていただいているとおりで、1周ぐるっと回っている様子が見やすいような軌道を1つ選びました。もう1つは赤道軌道といって、重力の推定にすごく寄与があると予測されている軌道です。こちらは観測、真横にぐるぐると回るような軌道で、こういう軌道は探査機では絶対に投入できない軌道なので、今回この赤道軌道というのをチャレンジングなんですけど実施しております。