いじめの事実を隠したがる娘、当てにならない教師… 親には何ができるのか。いじめ問題に真剣に向き合うきっかけをくれるコミックエッセイ3選【書評】
令和になった今もなお、社会に暗い影を落とし続けている「いじめ」問題。その残酷さを知りながらも、私たちは往々にして傍観者になりがちだ。しかし、いじめの現実と真摯に向き合い、複雑な人間模様を映し出しながら、問いを投げかけてくれる人たちがいる。本稿では、そんな「いじめ」をテーマにした漫画を3つご紹介していこう。 【漫画】『家族全員でいじめと戦うということ。』を読む まとめ記事の目次 ●家族全員でいじめと戦うということ。 ●娘がいじめをしていました ●あの頃世界のすべてだった学校と自分への呪いにさよならするまで
家族全員でいじめと戦うということ。
いじめの事実を隠したがる娘、当てにならない教師。そんな状況で、親には何ができるのだろうか。『家族全員でいじめと戦うということ。』では、娘のいじめ問題と真剣に向き合った家族の奮闘物語が描かれていく。
ある日、小1の息子から娘のハルコ(小5)がいじめられていると告げられた母のナツミ。それからハルコを注意深く観察したところ、いくつかの嘘が明らかになった。心配になって担任に連絡を取ってみると、どうやらハルコは3カ月前の自然教室で友達と何かがあったらしい。ナツミが担任に連絡したことで、学校では形だけの話し合いが行われ、よりハルコを追い詰める結果になってしまった。 そして心が晴れないまま迎えた運動会の日、ナツミはハルコの同級生の母親から衝撃的な事実を告げられる。なんとハルコは、4年も前からクラスメートに無視されていたというのだ。なぜこれまで気づくことができなかったのか、振り返ってみれば不自然な点はいくつもあった……。自分を責めるナツミ。また見て見ぬふりをし続けた周囲の大人にも怒りがわいてくる。 被害者は、加害者は誰なのか。複雑に絡み合った糸をほどくため、整理できない感情に決着をつけるために、家族が出した結論とは――。 いじめ問題は複雑で、表面上のことだけしか見えていないと余計に事態を悪化させることもある。子どものいじめに大人たちがどのように関わるべきなのか考えさせられる1冊だ。