『光る君へ』道長からの褒美の扇に描かれた男女にまひろは…『竹取物語』を連想させる筆記具も。細部まで見なければもったいない!
現在放送中の大河ドラマ『光る君へ』。屋外ロケで武士たちが戦うような戦国ものとは違って、屋内でのドラマ展開が多い今作。貴族たちの美しい着物や建物など、平安時代の雅も見どころの一つだ。画面を通して四季の風情を感じさせる壮大なセットなどにも、エコへの取り組みがなされているという。『あさイチ』も合わせ、舞台裏を見せてもらった (取材・文◎しろぼしマーサ 写真提供◎NHK) 【写真】三日月の硯、竹文様の水差し、牛車の筆置き、兎の文鎮など、竹取物語を連想させて * * * * * * * ◆「内裏・藤壺」の優雅な調度品の数々 NHKでは初めての平安中期の貴族社会を舞台にした大河ドラマ『光る君へ』は、ドラマの後半を迎え、主人公のまひろ(紫式部・吉高由里子)が、源氏物語の執筆を開始し、藤原道長(柄本佑)の長女である中宮彰子(見上愛)の女房として力をつくすことになる。 『光る君へ』は、ストーリーの展開を楽しむだけでは、もったいないドラマだ。 平安時代の帝(天皇)の最高級の住まいである内裏・清涼殿、中宮彰子が過ごす後宮の七殿五舎のうちの一つである飛香舎(別名=藤壺)、藤原道長の邸宅である土御門殿などの建物や庭が見ものだ。さらに、その時代ならではの品格ある室内の調度品(家具や生活用品)、衣装なども鑑賞に値する。 NHKの美術チームが、復元された国宝『源氏物語絵巻』、平安時代を偲ばせる建物、屏風絵、調度品を研究し、建築や風俗などを専門とする時代考証の先生方の意見をもとに作り上げた世界がドラマを盛り上げている。
◆美術チームの熱量がひしひしと伝わる 私は美術館に行くのが好きだ。現代まで保存されてきた昔の香炉や調度品などを目の前にすると、あまりの品格にもっと近づいて見ようとして、厚いガラスで遮られていることを忘れ、ガラスにおでこをぶつけた経験が何度もある。 『光る君へ』では、衣装はもちろん調度品が気になり、NHKプラスで見直し、「こりゃ凝っている。美しい」と独り言を言っている。俳優さんの傍や背景にあり、少ししか画面に映らなくても、完璧な雅の世界を作り上げたいという美術チームの熱量がひしひしと伝わってくる。俳優さんたちもその中にいて、平安時代の人になりきっているのだと、私は勝手に思って見ている。 美術チームが作り出した世界を、解き明かしてみよう。
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