NTTとNTTドコモが共同会見(全文1)ドコモの競争力強化と成長が目的
社会全体がリモート型にシフト
吉澤:それでは私のほうからドコモにとっての本件の意義、あるいは目指すことにつきましてご説明をさせていただきます。まず今回の判断に至る背景でございます。今日、私たちを取り巻く市場環境、大きく変化しております。通信事業では新規参入やサブブランドの攻勢で競争がますます厳しくなっていると。非通信の分野では異業種のプレーヤーとの競争が加速しております。また、新型コロナウイルスをきっかけとして社会全体が急速にリモート型にシフトしております。デジタルトランスフォーメーションも加速している状態です。 こうした動きの中でお客さまのニーズはますます多様化、高度化、そして複雑化してきているということであります。今年3月に5Gの商用サービスを開始しました。5G時代においては、お客さまニーズはさらに多様化し、モバイルに対する期待や、モバイルが支える領域がますます拡大してきております。5Gが拡大して社会や市場環境が大きく変化する今だからこそ、私たち自身がモバイル中心の事業領域をさらに拡大して、社会の期待やニーズにトータルで応えられる存在へと変革する必要があるということでございます。こうした認識があって今回の判断に至ったということです。 変革により私たちが目指す姿は次のとおりであります。より便利で使いやすいサービスをいち早く創出し、お客さまの期待に応えること。そして社会・産業のデジタル化・スマート化の実現を通じて社会課題解決に貢献すること。そして6GやIOWNなど、次世代ネットワークの早期実現によってわが国のICT産業のさらなる発展、国際競争力の向上に貢献していくことであります。これらは2020年代、2030年代のドコモの果たすべき役割だというふうに考えています。
NTTグループの中核を担う存在に
今回の完全子会社化を通じて、ドコモはNTTグループの中核を担い、全てのお客さまのフロントとしてトータルサービスを提供する存在となるということであります。コンシューマ・法人を問わず、また、モバイルネットワークだけでなく、ソリューション、アプリケーションまで含めて、お客さまのニーズにトータルで対応することができる会社に自らを変革していく。そのためにはサービス創出力・提供力、これを徹底的に強化するとともに、通信ネットワークの競争力をさらに高める必要があります。NTTグループの中核として、NTTグループ各社、例えばコミュニケーションズやコムウェアが持つアセットやリソースを活用して、ドコモの持つ事業基盤を強化することがそのための、いわゆる最短かつ最も確実な方法であると判断をいたしました。 グループとの連携強化について具体的には大きく3つの分野での取り組みを考えております。1つ目は通信事業、2つ目は法人ビジネス、スマートライフ事業。3つ目は研究開発でございます。それぞれについてちょっとポイントをご説明します。 1つ目の通信事業においては、ネットワークの高度化・効率化によりコスト競争力を強化する。例えばグループ各社のネットワークの連携強化によりモバイルのみならず、固定、Wi-Fiですね。そういったものを融合したネットワークやサービスを提供していくということ。また、各社の通信設備の活用やオペレーション、設備投資における協調を行うことで、より安定的でコスト競争力のある高いネットワークを実現していくと。これによりまして、多様なお客さまニーズに応える新たなコミュニケーションサービスや、低廉で使いやすい料金の提供を実現していくということであります。 2つ目の法人ビジネス、スマートライフにおいては、サービスやソリューションの創出力、顧客対応力を強化して事業領域を拡大するということ。法人ビジネスではモバイル、固定、上位レイヤーを融合した新しいサービスを創出して、ソリューションの領域を拡張する。また、法人営業部門や、それぞれの顧客基盤の連携によりまして、より強い営業力を実現し、厳しい競争に打ち勝っていく。スマートライフの事業ではグループ各社との連携強化によりまして、会員基盤を活用したエコシステムを拡大していく。さらに映像やヘルスケアなどの成長領域で、NTTグループの技術やサービスと連携させることで新たな事業を創出していくということでございます。