主人公の「闇落ち」から世界での快進撃が始まった…日本よりも海外人気がすごい講談社発のファンタジーアニメ
■ゴールが達成されても戦争が終わらない 『進撃の巨人』は自身の趣味でもあった総合格闘技を巨人同士でやったらどうだろうというところから始まっており、エレン、ミカサ、アルミンという3人のキャラクターはあとになってから生まれてきた。 のちにジャン、サシャ、コニー、ヒストリアという4人も含めた調査兵団104期の同期という7人のチームは、物語の最後まで「巨人の世界」を終わらせる役割を担い続ける。 連載開始当初から巨人の顔の奇妙さやリアルさは大いに話題になっていた。それは諌山氏によれば「人が一瞬だけみせる面白い表情を最大限に強調して描いた」という。 作品がヒットしたきかっけは、「巨大な壁を越えて、進撃してくる巨人に食われる恐怖」というわかりやすくダイナミックなモチーフではあるが、実は「苦手だった」はずのキャラクターの成長こそが一番の理由だろう。 端的に言えば、『進撃の巨人』とは3人で始まり、ただ仲良しだったチームが最終的には互いに受けた重い使命をもって最後には互いに殺しあう。そのことで、「巨人が世の中から駆逐される」というゴールを実現するという物語なのだ。 だが皮肉なことに、それでも戦争は終わらない。 ■トランプやプーチンにこそ見てほしい 『進撃の巨人』が示唆深いのは、「壁内/壁外」というどこの国にも存在する境界をめぐり、戦争のような終わりなき争いが、「家族や仲間を守るため」という自衛のために引き起こされるという事実である。 作中に登場するマーレ人とエルディア人との因縁の深さは、まるでいまのパレスチナ情勢やウクライナ情勢の写し鏡のようだ。この2024年の「THE LAST ATTACK」は国際情勢不安定な今だからこそ、トランプやプーチンといった「世界各国の首脳に見てもらいたいアニメ」でもある。人は戦わなくてはならない、戦わないために。 MALでのScoreでみると、これまでのシーズンすべてが8.5以上の高評価。それにMembersの数は70万~90万と常にトップアニメの実績である(2013Q2、2017Q2、2018Q3などの昔のシーズンは辿れない)。 だが実のところ、2019年までの進撃アニメの海外人気はもちろんトップ級ではあるものの、「ダントツのアニメ」ではなかった。 2019年4~6月の「Season3 Part2」時点ではシーズン終了時で36万人、海外での人気は1位ではなかった。当シーズンにおける順位は図表2のとおり、『ワンパンマン』2期がダントツの52万人で、続けて『鬼滅の刃』がリリース前11万から4倍にまで伸ばす成長率で44万、『進撃Season3』は3位の結果となっている。