主人公の「闇落ち」から世界での快進撃が始まった…日本よりも海外人気がすごい講談社発のファンタジーアニメ
■海外では第4期で人気最高潮に マンガ連載としては2009年~21年で全139話、34巻にわたって13年間続いてきた。同時にアニメはテレビシリーズで全94話、そこに劇場版実写で2回、劇場版アニメが3回加わる。 Googleトレンドでみれば国内での進撃人気は2013年のアニメ第1期こそ高かったが、そこから徐々にヤマは小さくなっていく(これはほかのアニメも同様の傾向)。だが“海外の”『進撃の巨人』人気とみると、第2期の2017年にむしろヤマが大きくなり、第4期となるThe Final Seasonで最高潮に達する。 コロナ以降は海外こそがホームグラウンドともいえる「進撃人気」ぶりで、実はいまだ衰えを知らない。今回の映画「THE LAST ATTACK」が来年、海外の劇場でどういった数字を見せるのか、今から楽しみでもある。 全世界の映像レビューで定評がある、大手映像情報サイト「IMDb」でも全98話にわたるアニメエピソードは「Top rated TV #23」にランクイン。 『Breaking Bad』や『Band of Brothers』『Game of Thrones』など北米ヒット作品に並んでいる。日本アニメでは『鋼の錬金術師』と『進撃の巨人』だけが30位以内に入っている。『HUNTER×HUNTER』、『デスノート』、『カウボーイビバップ』が続く。 国内外で40ものTVアワード受賞と88ノミネートをした『進撃の巨人』は、アニメによって全世界に広がり、日本アニメそのものの評価を底上げした。まさしく時代を象徴する作品であったのだ。 ■独自の世界観が生まれた背景 「ダークでエッジの効いたストーリー」と名高い『進撃の巨人』の物語はどう生まれたのだろうか。 著者の諫山創は、1986年に大分県日田市大山町で生まれた。保育園時代から恐竜の絵ばかり描き、一般的には「気持ち悪い」といわれる巨大生物が好きだったという。 高い崖のたもとで育ち、山々に囲まれた閉ざされた世界で育ったことが外の世界へのあこがれを醸成した。 それが、進撃の巨人の「巨人から人類を守るという目的のために造られた壁と、その中に暮らす人類」という独特の世界観構築にもつながっていると想像される。 「どのページ、コマ、線からも強烈に訴えかけるものが――大げさに言うと『怨念』のようなものがあったと思います。それが印象に残ってますね」、と持ち込みを受けた編集の川窪慎太郎氏は答える(2006年入社、2022年より週刊少年マガジン編集長就任)。 実は持ち込みは一度週刊少年ジャンプで断られている。編集として、あの持ち込み企画があったときに才能を受け止められるかという点はよくマンガ編集者の中でも話題になる。そのくらい諌山氏の初期企画は「キャラクターの造形」に課題があった。 諌山氏自身もキャラクターを描くのがとても苦手だったと話している。