体操・岡慎之助 2年前の大けが乗越え金メダル 「前十字靭帯」負傷時のリハビリや治療法を解説
パリ五輪・体操男子個人総合で金メダルを獲得した岡慎之助選手(20)は、2年前に右膝前十字靱帯断裂の大怪我に見舞われながらも、その後の治療・リハビリテーションを経て、見事に戴冠を果たしました。 【イラスト解説】スラムダンク・桜木の怪我を整形外科医が診断してみた 「選手生命にかかわる」とは? 前十字靭帯は、スポーツや交通事故などで膝に大きな力が加わると、損傷・断裂してしまい、完治までにはリバビリや手術が必要になります。今回、前十字靭帯を損傷・断裂してしまった際のリハビリテーションや治療法について医師に伺いました。 ※この記事はMedical DOCにて【「前十字靱帯損傷」の原因や症状はご存知ですか?医師が監修!】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。岡選手や主治医の先生を取材したものではありません。
前十字靭帯損傷とは
Q.前十字靭帯の役割は? A.前十字靭帯は、膝にかかる前方への衝撃に対して支える役割を担っています。前十字靭帯とは、太ももの骨である大腿骨とすねの骨である脛骨をクロスして支える靭帯です。 前十字靭帯がより役割を果たす場面として、例えばバスケットボールやバレーボールで前方へジャンプした後の着地をする際に前十字靭帯が支えるため、前方へ倒れるのを防げます。また、日常生活の中でも立っている状態からしゃがみ込む際に脛骨が前にいきすぎないよう支えています。このように、前十字靭帯は生活を営む上で重要な役割を果たしているといえるでしょう。 Q.前十字靭帯損傷とは? A.前十字靭帯損傷とは、スポーツや交通事故などの強い衝撃によって靭帯が伸びてしまったり、傷ついてしまったりしている状態です。力が加わった方向によって損傷しやすい靭帯は異なり、前十字靭帯は前方へ力が加わったときに損傷しやすいです。 前十字靭帯が損傷すると支えている大腿骨と脛骨にずれが生じやすく、すねが前に出やすくなり膝の軟骨を痛めたり、さらに悪化すると靭帯が断裂したりする可能性も考えられます。また、前十字靭帯を損傷した際に、同時に半月板や周辺の靭帯も損傷している場合もあります。 Q.前十字靭帯損傷の原因は? A.前十字靭帯損傷の原因は、スポーツによる外傷や交通事故によって膝に前方へ大きな衝撃が加えられたために損傷したことが原因です。通常の日常生活でそれほど膝へ大きな衝撃を受けるのは考えにくいです。 スポーツではジャンプの着地したタイミングであったり、前方へ足を踏み出したりした場合に捻りが生じると前十字靭帯が損傷してしまう可能性があります。また、交通事故も予期しないタイミングで膝に衝撃が加わるケースが多く、前十字靭帯が損傷する原因の一つに挙げられます。 膝には複数の靭帯が存在し、より大きな衝撃が加わると膝にある複数の靭帯が損傷を受ける可能性が高いです。