車の一時停止率、18年の「8・3%」から「68・6%」に…「歩行者優先」根付かせた滋賀、初の全国トップ10
信号機のない横断歩道で、歩行者が渡ろうとする時に車が止まる割合「一時停止率」が改善している。日本自動車連盟(JAF)の調査によると、滋賀県は68・6%で、前年より20ポイント以上アップ。ただ、3割強は依然として一時停止しておらず、JAF滋賀支部は「県独自の運動で歩行者優先の意識が定着してきたが、まだ違反の認識が薄い人も多い。根気強い呼びかけを継続していく」としている。(青山大起、西村歩) 【図表】今年の一時停止率(%、JAF調べ)
道路交通法では、横断歩道を渡ろうとする歩行者がいるのに車が一時停止しなかった場合、「横断歩行者妨害」で3月以下の懲役または5万円以下の罰金が科され、反則金は普通車で9000円、違反点数は2点となっている。
JAFは、横断歩行者の事故を減らそうと、2016年から一時停止率の調査を全国で行っており、18年から都道府県別の結果を公表している。今年は都道府県ごとに信号機が設置されていない横断歩道を2か所ずつ選び、8月の平日午前10時~午後4時に実施。JAFの職員が、横断歩道1か所につき50回横断し、乗用車やトラックが止まるかを確認した。
全国94か所で調査対象となった6647台のうち、止まった車は3525台で、全国平均の一時停止率は53・0%だった。滋賀県は近畿2府4県の中で最も高い68・6%となり、初の全国トップ10入りも果たした。
18年の滋賀県の一時停止率は8・3%で、全国平均(8・6%)を下回っていたため、県や県警などでつくる県交通対策協議会は、19年度から「横断歩道利用者ファースト運動」を展開。信号機のない横断歩道で、ドライバーは歩行者を見かけたら止まって「渡ってください」というジェスチャーをして、歩行者は渡る時に手を上げるなどして謝意を伝えるよう呼びかけるもので、毎月25日には横断歩道周辺や主要幹線道路を中心にチラシを配布するなどして周知を図ってきた。
その結果、一時停止率は年々上昇。22年以降は10ポイント以上ずつ伸びており、23年は46・3%で初めて全国平均を上回った。JAF滋賀支部は「産官学が協議会で連携し、県民総ぐるみで取り組んできた成果」と分析する。