はやぶさ2、リュウグウ観測状況は? JAXA会見(全文2)重力モデルの精度向上に
今後の健全性確認の予定は?
産経新聞:産経新聞の【クサカ 00:25:57】です。これは久保田先生にお伺いしてよろしいでしょうか。リアクションホイールのうちの予備のものがトルク値の異常ということでセーフホールドモードに入ったということですが、お察しするにリュウグウを出発するときまでには、健全性というんでしょうか、これを確認しなければならないところだと思いますが、今後の確認のご予定とか見通しをお聞かせいただけますでしょうか。 久保田:リュウグウ出発前に予定してたというか、定期的に予定していたもので、1個予備を持っていたものにつきまして動かしてみたんですけど、久しぶりに動かしたのかもしれませんけど、まだ状況が分かっておりませんが、今後、行う予定も考えてます。まだ決まっておりませんけども、出発前か、あるいは出発後も時間が十分ありますので、ほかのホイールできちんと制御できておりますので、合間を見て試験等の検討もしたいというふうに考えているところで、まだ何も決まってない状況です。 産経新聞:ひとまずは予備以外の3基でうまく動いているので、運用に問題はないという理解でいいですか。 久保田:はい。今ちょうど準備を始めてますので、特にイオンエンジンを今後使っていきますので、たぶんそちらのほうにちょっと時間取られるので、調査につきましてはちょっと時間掛けてというふうには今考えているところです。 産経新聞:分かりました。ありがとうございます。それからもう1点だけ吉田先生に伺いたいんですが、4つの大学のアクチュエータのうちの山形大学のものについては電気を使ったりしないので動く可能性があるが確認ができないというふうにおっしゃったと思うんです。 吉田:そうです、はい。
動くとすればどの程度移動できそうか
産経新聞:それで、山形大学のこの機構は、これ、やってみなきゃ分かんなかったかもしれませんけど、動くとすればどのぐらいの移動ができそうなものだったっていう。 吉田:実は今回ローバにすでに搭載してるアクチュエータはいずれもそれほどトルクを大きくしておりません。開通した段階で重力場はまだ分かっていませんでしたので、勢いよく飛び過ぎて脱出しないということをちょっと気にしてましたので、なるべく小さめの力ということを考えておりました。 バイメタルで金属が実際の温度変化でどのぐらいの反力を出すかというところも、それは温度次第なんですけども、もし動けば、特に岩の間に挟まって身動きが取れないという状況でなければ、ちょっと10センチ程度飛ぶとか、あるいは最低でも姿勢が変わるとか、そういった現象が起こるだろうと思っているんですけども、リュウグウって天体全体から見れば非常に小さな動きですし、着地したあと、その姿を確認するということは極めて困難だと思いますので、なかなかそれを証明するというのはどういう手段かというのは、これもちょっと起きてみなければ分からないんですが、もちろん当初の予定では、例えばカメラが使えればカメラの画像によって向きが変ったら移動したとか、そういうことが言える予定だったんですが、残念ながらそこの部分は現時点ではちょっと望み薄でございますので、動いてるに違いないけれども、ちょっと今のところどうやって確認したら良いかというのは見通しが立ってないというのが正直な状況でございます。