日欧の水星探査ミッション「ベピ・コロンボ」第4回水星スイングバイ時の画像公開
欧州宇宙機関(ESA)は2024年9月5日付で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同の水星探査ミッション「BepiColombo」(ベピ・コロンボ、ベピコロンボ)の探査機による第4回水星スイングバイ時に撮影された画像を公開しました。 日欧共同ミッション「ベピ・コロンボ」の探査機が見た水星の姿、ESAが動画を公開 BepiColomboはヨーロッパの水星表面探査機「Mercury Planetary Orbiter(MPO)」と日本の水星磁気圏探査機「Mercury Magnetospheric Orbiter(MMO、みお)」の2機による日欧共同の水星探査ミッションです。ここに両探査機の水星周回軌道投入前までの飛行を担当するヨーロッパの電気推進モジュール「Mercury Transfer Module(MTM)」が加わり、現在の3機は縦に積み重なった状態で飛行を続けています。 このミッションでは探査機を水星周回軌道へ投入するために地球・金星・水星で合計9回のスイングバイ(※太陽を公転する惑星などの重力を利用して軌道を変更する方法)実施が計画されています。日本時間2024年9月5日には全体で7回目・水星では4回目となるスイングバイが行われ、BepiColombo探査機は日本時間2024年9月5日6時48分に水星表面から約165kmまで接近しました。
1点目は最接近直後の日本時間2024年9月5日6時49分にMTMのモニタリングカメラ2(M-CAM2)で取得された画像です。探査機は水星表面から約177kmの距離にあり、BepiColomboのミッション中に最も水星の近くで取得された画像となりました。 2点目は日本時間2024年9月5日6時53分にMTMのM-CAM2で取得された画像です。取得時の水星表面からの距離は約355kmで、内部にピークリング(Peak ring)を持つヴィヴァルディ・クレーター(Vivaldi、直径213km。名前の由来は作曲家のアントニオ・ヴィヴァルディ)が写っています。 3点目は日本時間2024年9月5日6時54分にMTMのM-CAM3で取得された画像です。注釈で示された3つのクレーターのうち、ピークリングを持つストッダート・クレーター(Stoddart、直径155km)は芸術家のマーガレット・ストッダートにちなんで命名されたもので、M-CAMチームの提案を受けた国際天文学連合(IAU)によって2024年8月に承認されたばかりです。 4点目は日本時間2024年9月5日7時11分にMTMのM-CAM2で取得された画像です。取得時の水星表面からの距離は約3459kmまで離れており、水星のほぼ全体が写っています。点線で囲まれた範囲は水星の南極周辺で、南極点(South pole)やその周辺のクレーターが写っています。BepiColomboのミッション中に水星の南極が観測されたのは今回が初めてです。 なお、BepiColomboのミッションでは当初2025年12月に探査機が水星に到着する予定でしたが、MTMのイオンエンジンで最大推力が発揮できない問題が生じており、到着時期が2026年11月に変更されたことがESAやJAXAから発表されています。 今後のBepiColombo探査機は2024年12月に第5回水星スイングバイ、2025年1月に第6回水星スイングバイを行って軌道を変更し、水星到着を目指すことになります。【最終更新:2024年9月6日12時台】 Source ESA - BepiColombo's best images yet highlight fourth Mercury flyby
sorae編集部