【冬季うつ】女性がなりやすいって本当?だるさや無気力感が増しているならセルフチェックを
症状が2週間ほど続いたら心療内科などを受診
──確かにそれはとても大切な基礎知識ですね。発症しやすい人の傾向というのはあるものでしょうか? 山内さん 発症年齢は20~30代の若い世代に多く、女性の発症率は男性の3~4倍といわれます。緯度が高くて日照時間が短く、気温の低い地域も発症率が高いといわれます。また、PMSがある人も季節変化の影響を受けやすいという調査データもあります。臨床の現場に関わってきた個人的な実感としては、すでにうつ病や双極性障害など何らかの精神疾患を抱えておられる場合、冬季にメンタル不調が強まる方が少なくない気がします。 ──「もしかしたら冬季うつかもしれない」と感じたり、心身に違和感を覚えたりしたとき、治療が必要かどうかの判断基準はあるものですか? 山内さん 治療が必要かどうかの見極めとしては、休養をとったり、気分転換をしたりして回復するようであれば、急いで受診する必要はありません。ただ、気分の落ち込みや、いつも以上の過眠や過食が2週間ほど続いているようであれば、ぜひ受診を考えてほしいと思います。 ──その場合、病院は何科を受診すればいいのでしょう? 山内さん いちばん症状に詳しいのは精神科や心療内科ですが、PMS、PMDDで婦人科を受診している場合は、かかりつけの婦人科医に相談してみるのもいいと思います。自分では冬季うつだと思っていても、症状が似ている双極性障害などの可能性もありますから、症状がつらい方は我慢せず受診してください。 公認心理師・臨床心理士 山内恵理子 愛知県名古屋市にある女性のための小さな相談室「こはる心理カウンセリング室」を運営。精神科・心療内科で長年勤務した経験やスクールカウンセラー・大学の学生相談室の経験を基に、生きづらさを抱える女性のための相談活動をしている。「傷ついた心のケアをもっと身近に、必要な場合は医療とつなげて」をキーワードに、個人カウンセリングだけでなく、企業や学校向けのゲートキーパー(自殺対策)講座やストレスケア講座の講師を務める。共著に『クライエントと臨床心理士 こころの「病」と心理療法』(金剛出版)。 構成・取材・文/国分美由紀