パレスチナ支援のデモでナン・ゴールディンらを逮捕。「メッセージ拡散のためなら逮捕も誇り」
Hyperallergicが報じたところによると、アーティストのナン・ゴールディンとモリー・クラブアップル、映画監督のローラ・ポイトラスは10月14日、「ユダヤ人平和の声(JVP)」の活動家たちとニューヨーク証券取引所外でパレスチナ支援の座り込みを行った。この場所を選んだのは、イスラエルによるガザ地区とレバノンへの攻撃が継続している中、アメリカ最大の武器メーカーであるロッキード・マーティンなどの武器製造企業の株価が上昇していることを批判するためだ。 この抗議に参加したのは、ホロコーストの生存者の子孫を含む約500人。最年長は、82歳のマッカーサー・フェローでハンター大学名誉教授であるロス・ペチェスキーだ。抗議者らはウォール街の証券取引所の開場に合わせて、「Not In Our Name(私たちの名においてではない)」と書かれた赤いTシャツを着て集まった。彼らはまた、有名なパブリック・アート《Charging Bull》(1989)と《Fearless Girl》(2017)に「イスラエルへの武器供与をやめろ」「大量虐殺せずに(ハリケーンの被災地復興を管轄する)連邦危機管理庁に資金を回せ」というメッセージが書かれた赤い衣服を着せた。 Democracy Now! によると、抗議者のうち約10人がウォール街の正面入り口ゲートに自らを縛りつけて座り込んだ。JVPが共有した写真や動画には、ニューヨーク市警の警官に手錠をかけられ、引きずられてその場から連行される抗議者の姿が映っている。 この日逮捕されたのは、ナン・ゴールディン、モリー・クラブアップル、ローラ・ポイトラス、そして「ユダヤ人平和の声(JVP)」の活動家200人以上。ナン・ゴールディンは、「私たちのメッセージを広めるのに役立つのであれば、彼らと一緒に逮捕されることを誇りに思います」とHyperallergicに語っている。ゴールディンとクラブアップルは当日のうちに釈放されたが、ニューヨーク市警はまだ罪状を確定していない。 抗議行動が行われるきっかけとなったのは、イスラエルのガザ地区に対する空爆と地上攻撃が1年を経過し、アメリカ政府がイスラエルのレバノン攻撃を支援するための軍隊派遣と新たなミサイルシステムの配備を発表したからだ。 ブラウン大学の戦争費用プロジェクトの報告書によると、2023年10月7日に1200人のイスラエル人が死亡したハマスによる攻撃以来、アメリカはイスラエルへの「安全保障支援」として179億ドル(約2兆7000万円)を承認している。この数字は、毎年38億ドル(約5700億円)の支援パッケージに、141億ドル(約2兆1000万円)の公的資金が加わったもので、1959年にアメリカ政府がイスラエルへの軍事援助を承認して以来、異例の大幅増額。それでも、この増額は、例えばイスラエルに反対するイエメンのフーシ派に対する攻撃など、イスラエルによる広域地域での軍事作戦を支援するための追加費用であって、今年度中にアメリカが提供した財政および軍事支援の一部に過ぎないという。 パレスチナ保健省によると、9月29日の時点でイスラエルのガザ地区侵攻によるパレスチナ人の死者は4万1595人に上っており、ガザ地区の文化財も被害を受けている。10月13日には多くの人が避難していたガザ地区のアル・アクサ殉教者病院をイスラエル軍が空爆し、点滴を受けていた19歳の青年が逃げられず、火災に襲われる様子を含めた映像がソーシャルメディア上で拡散された。 デモに参加したニューヨーク在住のアーティスト、Crabappleは、「イスラエルの爆弾がガザ地区のパレスチナ人患者を焼き殺し、ベイルートの集合住宅を破壊している。私たちはスマートフォンで、毎日新たに行われる言葉にできないようなイスラエルの戦争犯罪を目にしています」とHyperallergicに語った。 JVPの活動家はまた、アメリカ南部を中心に甚大な被害を発生させた大型ハリケーン「ヘリーン」と「ミルトン」の被災地復興のさらなる支援を政府に求めている。(翻訳:編集部)
ARTnews JAPAN