糖質制限はダイエットの敵? 逆風に反論、砂糖博士「悪いわけがない」
THE PAGE
健康志向の高まりを受け、「ノンシュガー」をうたった商品や、「糖質制限」食品が一大ブームとなっています。その一方で砂糖は、「ダイエットの敵」、「骨を弱くする」などと言われ、何かと健康面で目の敵にされがちです。 国内製糖最大手の三井製糖(東京都中央区)事業開発課長で“砂糖博士”の奥野雅浩さん(42)は、「砂糖はなぜか叩かれやすい」と嘆きます。「砂糖が人体に『悪いわけがない』」。砂糖の「有益さ」を広めようと悪役イメージ一掃に奮闘する奥野さんに話を聞きました。
糖質不足は太りやすい体質になる可能性も
「少子高齢化や人口減少などの影響により砂糖自体の販売量はじわじわ右肩下がりです」と砂糖の現状について語る奥野さん。砂糖の研究で博士号を取得した“砂糖博士”であり、三井製糖では研究職を務めるとともに、砂糖の良さを世の中に伝える役割も担います。 精糖業の調査研究などを行っている精糖工業会によると、2015年の国内の1人あたり年間砂糖消費量は約16.6キログラムと、2001年の約18.4キログラムよりも、約10%減少しました。それに対して、市場調査会社の富士経済の調べでは「糖質オフ・ゼロ」をうたう製品市場が拡大しており、2016年は前年比7.7%増の3431億円と見込んでいます。糖質の摂取をやめて体重を減らす「糖質制限ダイエット」人気が一因と見られています。 この「糖質制限ダイエット」ブームについて、奥野さんは「短期的には体重が減りますが、長くは減少が続かない可能性があります」と効果を疑問視します。 糖質が不足すると、人体は摂取したタンパク質や脂質をエネルギーに変えますが、それでも足りない場合は体内の筋肉を分解して補うため、筋肉量が減ってしまいます。筋肉は糖質を消費する役割も担うので、糖質制限を続けると、かえって太りやすい体質に変わってしまう場合もありえる、と説明します。 そもそも、糖質制限ダイエットに限らず、肥満の原因とみられがちな糖質。ですが、「摂取したエネルギーの総量よりも人体での消費量が少ないと太りますし、多いとやせます」として、本来の問題は食べる量にある、と奥野さんは主張します。