再度の米0.5ポイント利下げは困難な様子-FOMC漸進主義モード
(ブルームバーグ): 米労働市場の堅調が続く限り、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が連邦公開市場委員会(FOMC)でもう1回の大幅利下げについて同意を取り付ける公算は小さいだろう。
FOMCが0.5ポイント利下げを決めた9月の会合後、記者会見したパウエル議長は、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを4.75-5%に引き下げた決定を巡り、労働市場の力強さを維持するのを確実にするための再調整だと説明した。
こうした大幅利下げは米金融当局の金利変更で典型的な漸進主義から離れるものだ。当局者の一部は0.5ポイント利下げを支持した理由として、インフレ率が2%の当局目標に向かいつつあると最近の物価統計で判断したためだと論じた。
しかし、9日に公表されたFOMC議事要旨では、「景気抑制的」政策にもかかわらず米経済が顕著な底堅さを維持している点を理由に、一段と漸進的なペースでの利下げが望ましいと、当局者の一部が考えていたことが示された。
議事要旨によれば、「一部の参加者はこの会合で政策金利のレンジを25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き下げる方が好ましいとの認識を示し、その他の数人はそのような決定を支持していたであろうことを示唆した」という。
調査会社LHマイヤー/マネタリー・ポリシー・アナリティクスのエコノミスト、デレク・タン氏は9月会合での大幅利下げについて、「タカ派のトーンは『それを望むなら、今回の分は認めよう』というものだ」とし、0.25ポイント利下げを「望みながら、彼らの多くは会合に臨んだ」との見方を示した。
議事要旨で「大多数」が0.5ポイント利下げを支持したと記されている部分に関し、タン氏は「珍しい言葉遣いだ」とし、「ほぼ全員が支持したとは言えなかったのだろう」と指摘した。
パウエル議長も、FOMCの漸進主義選好を認めている。議長は9月30日、ナッシュビルで開かれた全米企業エコノミスト協会(NABE)の年次会合で講演し、「委員会として急いで利下げしようと感じていない」とした上で、「最終的に今後入手するデータによって導かれる」と語った。