セ・リーグの優勝争いが佳境に。「最終盤までもつれた過去のシーズン」を振り返ってみた
最後の最後にヤクルトが突き抜けた2021年
2021年のセ・リーグは、シーズン後半戦から首位争いに加わってきたヤクルトが6年ぶりにリーグ制覇を果たす。チーム打率・チーム防御率はともにリーグ3位だったものの、監督である高津臣吾氏のマネジメント力が光った。 8月まで巨人、阪神との争いだったが、ヤクルトは終盤に強かった。9月が13勝8敗5分、10月が11勝4敗1分と勢いがさらに加速した。逆に、前半戦(3~5月)に首位争いをしていた阪神・巨人は、終盤まで決め手を欠いたままもつれる形になった。 巨人は、勝負どころでつまづいた。9月3日から9月5日の阪神との3連戦で1勝もできなかったことで、チームの勢いが一気に失われたと言っても過言ではなかった。その結果、優勝争い真只中の9月は月間成績で6勝14敗5分と大きく負け越した。 阪神は、シーズン前半こそ好調をキープしていたものの、決め手に欠いた結果になった。弱点はシーズンを通してディフェンス力だった。失策の数は12球団最多の86を記録しており、失点につながる場面も多々見られた。 また、開幕から活躍していた佐藤輝明がシーズン終盤に絶不調に陥ったことも痛かった。その結果、巨人と同様に終盤で息切れするような形で、ヤクルトに首位を譲った。
ブルペンの層が厚いうえ、大事に使った
そのヤクルトは、東京五輪の決勝でホームランを放った村上宗隆が、続く2021年シーズンも絶好調だったことが非常に大きかった。結果的には、39本塁打、112打点を記録し、シーズンMVPに輝く活躍。また、山田哲人も34本塁打、101打点を記録し、上位3球団の中で、打線の軸は一番安定していたと言ってもいいだろう。 投手陣も、高橋奎二は登板数こそ少ないものの、安定した投球を見せており、奥川恭伸は9勝を挙げた。この若手2人以外にも、ベテラン勢も躍動した。大ベテランの石川雅規は防御率3.07と、安定した投球ぶりを見せた。エースとして優勝を経験している小川も9勝を挙げ、新外国人のサイスニードは6勝を挙げた。 ブルペンの層は厚く、クローザーのスコット・マクガフを中心に、最優秀中継ぎ賞を獲得した清水昇、田口麗斗、石山泰稚、今野龍太、坂本光士郎、大西広樹などのリリーフを上手く運用。 優勝した要因と言えるのは、シーズン中は原則的に3日連続登板までとするなど、巧みなマネジメント術を見せたこと。ライバル2球団の状態が落ちてきたところで、安定した試合運びをして20年ぶりの優勝を成し遂げたのだ。