セ・リーグの優勝争いが佳境に。「最終盤までもつれた過去のシーズン」を振り返ってみた
勝負強かった2010年の“落合中日”
2010年のセ・リーグは、各球団がシーズン終盤まで熾烈な優勝争いを繰り広げ、最後まで読めない展開となった。リーグ優勝を果たしたのは中日だった。“落合中日”の真骨頂が示されたのは、監督最終年だった2011年はもちろんのこと、この2010年シーズンもそうだったのではないか。 巨人は、長野久義が加入して打線に厚みが増したが、盤石だった投手陣が崩壊。セットアッパーだった山口鉄也が先発に転向したものの、失敗に。越智大祐の勤続疲労や、マーク・クルーンの衰えも重なった。先発では、内海が二桁勝利をあげたものの不調に終わり、セス・グライシンガーやディッキー・ゴンザレスも打ち込まれる場面が多々。 対する阪神は、新加入のマット・マートンが、1番打者として214安打と打率.349を記録。2番の平野恵一もキャリアハイとなる打率.350を記録し、驚異の1.2番を形成した。 さらに、3番に座っていた鳥谷敬は、リーグトップの得点圏打率.360、満塁打率.500を記録するなど勝負強さを見せて、プロ野球の遊撃手のシーズン最多打点となる104打点を記録。4番新井貴浩、5番クレイグ・ブラゼルも100打点を記録。新加入の城島健司も攻守に渡る活躍を見せて、打率.302 28本 91打点を記録して元メジャーリーガーの底力を見せた。が、エース能見篤史の離脱が影響したこともあって優勝は逃してしまう。
10月まで優勝争いがもつれることに
巨人と阪神を押し除けてリーグ優勝を果たしたのは中日。シーズン序盤は荒木雅博と井端和弘の二遊間をコンバートした影響もあり、貯金を作るだけでギリギリの状況。6月の時点では、前年まで3連覇していた首位巨人と8ゲーム差をつけられていた。 しかし、夏場からじりじりと追い上げていき、9月には巨人・阪神に並ぶ。落合中日特有の勝負強さといえよう。広い本拠地の特徴を活かし、ホームのナゴヤドームでは51勝17敗1分の勝率7割5分と、抜群の強さも発揮した。 前年最多勝の吉見一起と、前年最優秀防御率のチェン・ウェインを中心に中田賢一や山井大介、山本昌などでローテーションを形成。さらに、リリーフ陣の勝ちパターンを高橋聡文、浅尾拓也、岩瀬仁紀で確立させ、優勝を経験しているベテランの平井正史や鈴木義広、小林正人らがおり、層の厚い投手陣が強み。チーム防御率はリーグで唯一の3点台前半という成績を残した。 一方、打線はチーム打率・本塁打・総得点はすべてリーグ5位。巨人や阪神ほどの圧倒的な打力はなかった。ただ、この年のシーズンMVPにもなった4番の和田を中心に、要所で得点を積み重ねていったことが大きい。最終的に2位阪神とは1ゲーム差、3位巨人とは2ゲーム差という僅差となり、10月まで優勝争いがもつれたシーズンだった。