天皇陛下と雅子さまの「ワイン物語」 和食に込められた思いとは
雅子さまは専門書を購入されてワインを勉強
ご結婚前、雅子さまはアルコールをほとんど口にされなかったという。ところが、各国からのお客さまをお招きするからには、料理やワインを知らなければならないと気づかれるようになった。欧米の上流社会では、コックが料理をつくり給仕がサービスをしても、メニューを決めて飲み物を選ぶのは、その家の奥様の役割である。 天皇家では、海外からの賓客をもてなすことが多いため、ふだんはワインを飲まれなくても、料理に合うワインの知識が必要なのである。そこで、雅子さまはワインの専門書を購入されて勉強された。驚くことに、短期間で多くのワインの名前を覚えてしまわれたという。 高価や有名なワインが、かならずしもその場に合うわけではない。料理に合うことはもちろん、お客さまのお国のことを配慮し、お家柄との所縁などに気を配ってワインを選ぶと、お相手からも心から喜んでもらえるもてなしができる。そういった意味でも、ワイン選びは奥が深いという。浩宮さまも、ご一緒にワインの勉強をされた。やがて、東宮御所でお客さまにお出しするワインは、浩宮さまと雅子さまがご自分たちで選ばれるようになった。 そのころ、東宮御所の貯蔵ワインは、浩宮さまが選ばれていた。浩宮さまは、ワインリストの脇に数字を書き込んでおかれる。そのワインを数字の本数購入してほしいというメッセージであった。浩宮さまが頼まれるのは、有名ではなくても特徴のあるワインだった。例えば、フランスのロマネ・コンティの隣村のエシェゾーやジュヴレ・シャンベルタンといった生産量の少ないワインである。 お客さまが来訪する予定は、一年先くらいまで決まっていることもあるため、そのお客さまのお好みを考えてワインをリクエストされるのである。お客さまと食事をともにされるのは浩宮さまと雅子さまだから、お客さまの好みもよくご存じなのだろう。 初めてのお客さまのときには、その日の料理の内容を詳しくお聞きになり、お客さまの考えや好みを踏まえて、ワインを選ばれた。そうして、ご自分たちもご一緒に召し上がって楽しまれるのである。