清水和夫×高平高輝クロストーク「南南西に進路を取れ!」で語られた、温故知新なためになる話とヤバい話とは?[まとめ]
■バブル到来、日産イケイケ時代に生み出されたものとは? アフリカには何がある? その2【清水和夫×高平高輝クロストーク「南南西に進路を取れ!」 】
プリンス、ダットサン、ニッサン。60~70年代にサファリラリーに果敢に挑戦していた日産自動車はその後の80年代~は「日産901運動=1990年代までに技術世界一を目指す」とし、技術の日産を掲げ邁進していた。そして生み出されたものとは…。 ●なぜ世界はアフリカを目指すのか、アフリカにあるものとは? 清水:なぜ日本人がみんなアフリカを目指したか。今、希少金属見れば全部アフリカ。コバルト、マンガン、ニッケル、アルミも石油も。アフリカの赤道挟んだあの辺、コンゴとか。 高平:赤道直下がそういうレアメタルの産出地。 ●イケイケなバブル時代~バブル崩壊、そのとき日産は? 高平:80年代からパルサーGTI-Rの90年代頭ぐらいは、バブルだからもう日産もどこもイケイケ。その頃になると、日産はすごく早いうちに海外に工場を作って現地生産に乗り出した。そして日産901活動に続く。だから日本車は本当に飛ぶ鳥を落とす勢いだった。それの尖兵が日産。 清水:あの頃、アウディはまだやっていなかったから、FFでマルチリンクができたのは日産が先だった。じゃ“飛ぶ鳥を落とす勢い”だった日産はどこでつまずいたのか…? 諸説あるけど、 トヨタみたいに事業で儲けることが下手だった。オタク系なんだよね日産は。 高平:日産はステアリングホイールだけで50種類以上作っていたって言われていたじゃないですか。コストを管理するっていうのが、膨張の間にいつの間にかすっかり抜け落ちていたんですよ。エンジン、トランスミッションと、あらゆるそういうユニットが、物凄い種類になっていたんです。イケイケどんどんでしょ! でも、そのおかげで評価を得たことは間違いない。ただ、やっぱり今考えてみると、プリメーラクラスにフロント・マルチリンクサスっているの?みたいな話はあります。 清水:やりすぎちゃダメなんだよな。儲からないし。
■南南西…どころじゃない、希少金属求めて宇宙へ飛び出すって!? その3【清水和夫×高平高輝クロストーク「南南西に進路を取れ!」 】
対談の数日前に日本で初めて開催されたフォーミュラE第5戦「東京E-Prix」を観戦した清水さん。そこで感じたものは、南南西に位置するインドの躍進だった。アメリカでも欧州でもなく、なぜインドなのか。そして今、BEV(バッテリーEV)化へと進む日本への警鐘も。 ●どこでどういう事業をするのが賢い方法なのか 清水:90年代以降、ずっと「グローバリズム」っていう言葉の中で、 国境を越えて輸出産業が花咲いた時期がずっと続いてきた。ただ、最近はどちらかというと、なんかこう、右傾化してるじゃない。それにずいぶん前から、ヨーロッパはビジネスが厳しいし、関税もあるし、為替もあるし。為替的には円安だからいいんだけど。新しい電動化車両は電池規制法とか、国境炭素税とか、バッテリーパスポートとか。多分ヨーロッパではなかなか日本のOEMは事業がしにくい。スバルもダイハツもスズキも撤退して。まぁ日産はルノーとのアライアンスがあるから。 でも決して順風満帆ではないよね。 高平:もう商売の場所としてはちょっとこう、なんか本当に大丈夫かなぁ。 清水:世界地図見て、どこに次のビジネスの新天地があるかって見たら、やっぱり2050年のメガシティ化になるのはナイジェリアとかキンシャサ(コンゴ民主共和国の首都)とか。インドとバングラディシュとパキスタン、旧インドグループで、あそこだけで25億人くらいいそう。あと20年後はもうどんどん人口が増えるから、そこに日本車が安くて壊れなくて、もう一回出す。 ●希少金属が生み出せない日本は軽BEV「サクラ」を見ろ 清水:イランがイスラエルにロケット打ったりしてるでしょ。ホルムズ海峡を閉鎖されたら、日本の石油は95%アソコを通っているから、もうそのモデルはサステナブルじゃない。だから、やっぱりバッテリーにいくんだったら、希少金属をちゃんと確保して、回収、リサイクルっていうモデルをやらないと。でかいバッテリーはもうダメで、バッテリーは小さく作る。そういう意味じゃ日産「サクラ」、日本の国民車・軽自動車でBEV。ああいうようなモデルをどんどん作って、で、South by Southwest、南南西に進路を取ればいいのかな。 高平:南南西の途中には紛争や、世界的に今問題になっている地域っていうのがいっぱいあったりして。やっぱりそんな、なんかバッテリーEVだ! いやいやハイブリッドだ!とか。そりゃまぁ、飲み屋で「くちプロレス」の種にはいいかもしれませんけど。 ●希少金属がまったく採れない日本よ、さぁどーする? 清水:キジャン イノーバベースの車がインドネシア・ジャカルタのカラワン工場で作られて、でもあれは中東まで。その先の西の南、そこには希少金属が大量にある。 高平:地政学的っていう言葉がすぐ出てくるような。こんなにEVって言ってる国で必要なものが何も採れない国って珍しい。 清水:エネルギーもない、石油もない、希少金属もない! それでよくEVって言うよな。
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