「俺は勝負師じゃない…」天才棋士・中原誠に敗れた“元天才少年”が賭博で多額の借金も「電話代だけは払っておくものだね」と語ったワケ
山城新伍との共演から「チョメチョメ八段」と
その後、芹沢は『アイ・アイゲーム』というクイズ番組にもレギュラー出演した。司会の山城新伍が出題する文章の一部の伏字を穴埋めする企画で、それを「チョメチョメ」と言った。芹沢は卑猥な響きがするその言葉を気に入り、ある著書の表題の一部を「××(チョメチョメ)八段」とした。また、豊かな才能を認めていた青年時代の谷川浩司(現十七世名人)を世間に知ってほしいと願い、谷川の名前であえて回答したことがあった。 芹沢は81年に公開された落語界を題材にした映画『の・ようなもの』(主演・秋吉久美子)に特別出演した。女子高生の父親役を自然体で演じ、男性落語家に詰将棋を出題する場面もあった。
筋の悪い賭博にかかわり、多額の借金を
芹沢は、このように持ち前の多芸さを発揮して幅広く活動してきた。その一方で、20代後半に筋の悪い賭博に関わって多額の借金を作り、経済的に苦しい時期があった。 「どんなに金がなくても、電話代だけは払っておくものだね。いつかどっかから、仕事を依頼する電話がかかってくることがあるんだ」 あるとき、私に対してしみじみと語ったことを、今でも思い出す。 そんな芹沢は酒豪としても知られる。有名作家である山口瞳を筆頭に交遊は広く、さらには首相を務めた田中角栄からも政界進出を持ちかけられたことがあった。 〈つづく〉
(「将棋PRESS」田丸昇 = 文)
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