はやぶさ2、タッチダウン後の状態は? JAXA会見(全文1)10時6分18秒に着地
GCP-NAVとターゲットマーカー捕捉についての説明
大野:航法誘導制御を担当しております大野といいます。よろしくお願いします。私のほうからは簡単にGCP-NAVとターゲットマーカー捕捉についてご説明いたします。まず左側の図ですけども、今回のピンポイントタッチダウン運用は大きく2つに分けて考えることができました。前半が降下とホバリングをする部分。そして後半がターゲットマーカーに帯する自律制御を精密に行なう部分です。 この2つの切れ目になっている部分はターゲットマーカーの捕捉でして、具体的にはターゲットマーカーを探査機の航法カメラ、ONC-W1の視野に入れて、それがターゲットマーカーであることを探査機に認識させるということです。これができるとターゲットマーカーに対する自律制御を開始できますので、前半の降下とホバリングの部分の最大の目的はターゲットマーカーの捕捉でありました。それを実現するためにはどのぐらいの精度で降下する必要があったかというのを右側の図で示しています。 われわれとしては当然ターゲットマーカー捕捉の確率を上げたいですので、ターゲットマーカーの真上を狙って、航法カメラONC-W1の視野ど真ん中でターゲットマーカーを捉えられるようにするわけですけれども、いろいろ誤差があってそこからはずれてしまうわけです。そのときに位置ずれがどこまで許容できるかというのをこの右側の図で示しています。航法カメラONC-W1の視野は片側30度ありますので、その30度のぎりぎりのところでターゲットマーカーが捉えられれば良いといたしますと、高度が30メートル、計画値どおりだった場合は許容される精度が17メートル。大ざっぱにはそういった計算になります。 このピンポイントタッチダウン運用の前にわれわれは3メートルという非常に良い精度でターゲットマーカーを投下できていましたので、17メートルという精度を満たすことには大きな自信がありました。とは言え、数億キロメートル離れたところに転がっているお手玉を拾いに行くような難しい運用でして、例えばこの精度を必ず満たしなさいと、半年前に言われていたら少し不安だったかなとは思いますが、今回は自信を持って運用に臨めたというのはやはりこの半年間で積み上げてきた実績によるところが大きいだろうというふうに自負しております。 【書き起こし】はやぶさ2、タッチダウン後の状態は? JAXA会見 全文2に続く